前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

403.私の会社員時代、やってらんない記憶.81

この回は、相続対策と費用対効果について書きたいと思います。これはどういう事かと言うと、顧客の中には凄い財を成してコンサルタント会社と契約して、相続対策をしている人もいましたが、反対にそれ程でも無いのに、やたらと相続対策などと言って勉強している顧客も結構いました。そのうちのある顧客の事を書こうと思います。

この顧客は勉強好きな真面目な社長でした。会社は継いでいましたが、あらゆる財産はまだ親の名義でした。しかし巷では自社株問題とか事業承継の事が段々と話題になっていた頃でした。そしてこの社長、あらゆる金融機関やコンサルの会社に、相続対策の相談をしていたのでした。そして、それを私のような一般人に自慢げに話すのが趣味のような感じのような人だったのです。時にはそんなに喋って大丈夫なのか心配する位な感じでした。こう言った人が泥棒とか空き巣に狙われるんだろうなあ、と思うような社長でした😅。

ある日訪問すると、早速この社長が話して来ました。「うちの親父が死んだ場合の相続税、いくらだと思う?、3000万だってよ。どうしよう?」。そんな事、私に言われてもどうしていいかリアクションに困ります。私が、「凄いですね、どうするんですか?」などと聞くものなら大変です。ああでも無いこうでも無いと、それまで聞いた色々な専門家の話を並べて来ます。私は、勝手にやれば、と思って聞いていましたが、何か専門家に騙されそうな人だなと、内心思っていました。

するとある日訪問すると、社長がまた相続対策について話し出しました。どうも先日、あるコンサルタント会社の講演会に行ってきたそうなのです。するとまたまた色々な相続対策の手法について自慢げに話出します。そしてその時は「うちの税理士はだめだな。今度変えようと思うから、誰かいい税理士いない?」、などと言い出しました。私は会社を通じて知っている税理士を数人紹介しましたが、この社長、結局、今の顧問税理士と新たにコンサルタント契約とやらを結び、月数万円のコンサル料を払い、相続対策を提案して貰う事にしたそうでした。

しかしその後、社長からは大した話は聞きません。こちらからある日、その後、顧問税理士から何か提案があったのか聞いてみました。すると社長は贈与をやっている最中だと話だしました。月に110万円まで無税で贈与する事が出来るとの事で、両親の預金や自社株、土地建物を洗い出し、贈与に適した財産から贈与を始めて行くとの事でした。私はこの程度の提案で、月数万円のコンサル料を取られるのかと唖然としましたが、社長は何故かご満悦の様子でした。

そしてその後、まず自社株から贈与をして行く話を聞きました。私は前述の自社株で大変になってしまった会社を見てから、少し自社株については勉強していました。そこには、自社株というのは中々厄介で、単純に贈与するな、というアドバイスがあったのです。個人経営のような会社では、なるべく自社株の名義が散らないようにするという項目があったのでした。これは会社の経営権に及ぶのです。株式は最低でも、経営者は2/3以上は持つ必要があると書いてあったのです。また、自社株の贈与は、自社株の価格を引き下げる対策とセットで考えるという項目もあったのです。なんとなく不安になり、そして社長に、誰に、どれくらいまで贈与するのか聞いてみました。するとどうも、社長、社長の奥さん、娘2人にそれぞれ1/4ずつにするまで贈与するとの事でした。

私はこれを聞いて、それは再度考えた方がいいのでは無いかと言いました。私は後継者でも無い娘に自社株を移してしまったら、経営権の観点から面倒になる場合もある事を説明しました。しかし社長はお構いなし。相続対策という言葉に満足しているように見えました。しかしその後、この税理士からはこれ以上の対策の提案はありませんでした。これに社長はまた怒っていて、再度私や金融機関に、いいコンサルタント会社を紹介してくれと言い出しました。

すると後日、ある金融機関から紹介された会社と契約したとの話を聞きました。そしてその会社は3通りの相続対策の提案をして来たそうでした。それはどれも私には難しくて分からない位の高度な物でした。私は逆に、内容が分からないのに実行するのは危険だと思いましたが、社長はやる気満々。新たに会社を作り、その会社を使って相続対策をするとの事でした。私はそれ以上は理解不能で、その後も社長からの説明はありましたが、ただ頷いて聞いているだけでした。

そして、数年が経過したある日、その社長と話していた時、何気無く相続対策の効果を聞いてみたのです。すると、税制が変わったり、土地の評価の元になる路線価が上がったりと、相続税は数百万程度しか減っていないとの事でした。さらに、顧問税理士との契約はまだ続いていて、贈与だけはやっているとの事でした。そして新たなコンサルタント会社には数百万の手数料を払ったそうなのです。

社長は何もしなかったらもっと相続税は上がっていたと、更なる対策をやろうと思っているとの事でしたが、私から見ると、手数料を数百万円払って、減った相続税は支払った手数料分程度って何なんだろうと思いました。返ってこの手数料分は無駄金だったのではないか、業者にいいようにやられたのでは無いか、と思ったのでした。おそらくこの社長の両親は、「それは酷いんじゃない?」位な事を思って無いのか、心配になりました。

まあ当事者がいいのなら仕方ないのですが、その後もこう言った顧客は結構いました。それを聞いていると、いつもこの社長の事を思い出し、対策ありきではなくしっかり効果は出ているのか、費用対効果は本当に出ているのかと思うようになったのでした。

安くて美味しいとは言え、ここまで来る交通費が掛かっているのを忘れていませんか? でもそれを言ったらおしまいですね。やっぱり地元で食べるものは美味しいです😅f:id:x-japanese:20221019105928j:image