前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

419.私の会社員時代、やってらんない記憶.89

専門家がリスクリスクと言って何もしない事例をもう一つ。これは結構専門的な事なので、私はイマイチ理解出来なかったのですが、要約した講師の話を聞くと、「それはないんじゃない?」と思った事例でした。

そもそも、そんな物まで相続財産になるのがビックリだったのです。中小企業といものは、それこそ山あり谷ありな経営なのは、私も営業をしていたので実感はありました。そして中々資金繰りが付かず、社長の給料をある時払いにしている会社は多々ありました。それが解消せずに行くとその未払い分は、社長の会社への貸付金のような形となり、溜まって行く事になります。この貸付金が財産となるとの事なのです。まあ確かに会社から貰える物が貰えないのは、それが貸付に当たると言われれば「そうかな〜」と思わなくは無いですが、何か解せない感じですよね。

そして大体こういった時期は会社が厳しい時、所謂赤字の状態です。金融機関からの借入も厳しくなります。なのでこんな状態のまま頑張って行き、大制を立て直すしか無いのです。時には給料の未払いでは足りずに、社長個人からお金を出したりして対応する事もあったりするのです。こうなると、赤字の会社に社長が貸し付けている状態が長く続き、その数字も大きくなります。そしてこの会社の社長は、ある時金融機関から、社長の貸付金は相続の時の財産になるから注意した方がいいという話を聞きます。この時のこの講師が、金融機関のアドバイザーとして呼ばれたそうなのです。

この講師は早速決算書を分析。すると会社には結構な損失がありました。そこで社長の貸付金と、この繰越して積み上がっている損失を相殺する提案をしたそうです(所謂、債権放棄という奴です)。そうすれば会社にも余計な税金も掛からず(へたにやると受贈益という税金が会社に掛かってくるそうです)、社長の貸付金は消えるそうです。最初は社長は渋ったそうですが、どうせ返って来ない財産を持っていても仕方が無いでしょうという理論で、決断を勧めたそうです。しかし社長は顧問税理士に相談すると言って、その場は終了したそうです。

その後、金融機関からの情報では、その顧問税理士は社長からの依頼を受け、「相殺」の手続きを約束してくれたそうです。しかし、それは中々実行されなかったのです。一年、また一年と過ぎ、社長が税理士に聞くと、「次年度にはやる」と言って終わりだったそうです。

そして悲劇が起こります。何とこの社長が急死してしまうのです。家族が税理士にその事を伝えると、「そうですか」で済まされたそうです。家族はさすがにこの対応に我慢ならず、この講師に相続手続きを依頼して来たそうです。そして、あれ依頼そのままになっている決算書を見てビックリしたそうです。当然に社長の貸付金はその時以上に増えており、それが相続財産として評価されます。対処しようにも社長が亡くなっているので、何とも仕様がありません。結果、かなりの相続税を支払ったとの事でした。

家族はその後、この顧問税理士に怒り心頭、裁判に訴えたそうですが、その後の事は不明との事でした。講師が言うには、人生何があるか分からない。何事も対策は早いに越した事は無いとの事でした。この顧問税理士は、おそらく忙しさにかまけて、後回しにしていたのでしょう。その結果が払わなくていい相続税を、顧問先の顧客に払わせる結果になったのです。昔からの諺にも「善は急げ」と言う言葉があります。まさにその通りだなと実感した事例でした。

そしてその後、ある顧客に訪問していた時、この反対の事例を聞く事がありました。逆にこれだけ顧問の顧客の事を思っている専門家もいるんだなあという事を実感したのです。これも専門的で分かりずらいのですが、この顧客、以前から兄弟仲が悪く、既に亡くなった父親の預金がそのままになっていたそうなのです。相続税は掛からなかったそうで、特に申告とかをする必要が無く、それが返って悪かったようです。その後、中々集まる機会が無く、預金がある金融機関からも、早く相続の手続きを終えて欲しいと連絡があったそうです。しかし相続財産となった預金は、相続人である兄弟全員の印鑑が無いと処理出来ないと言われます。そんな話し合いが出来るならとっくにやっていると、この顧客は、その後も放っておいたそうです。

しかしここで、顧問税理士の登場です。この辺りがまた専門的な話になるのですが、当時の法律では、相続財産の預金については、相続分の支払いが可能だったそうなのです。これ自体、何それ?、の感じですが、この場合で言うと、亡くなった父親の預金の相続分は、分割して支払ってくれるのだそうです。この場合、母親は既に亡くなっていたので、相続人は兄弟のみ3人。よって1/3の相続分の支払いが出来てしまうそうなのです。そして、その法律が変わってしまうとそれが出来なくなると、顧問の税理士が教えてくれたそうなのです。

早速その事を金融機関に相談に行くと、やはり金融機関と言うのは中々紛争になりそうな事はやりたく無いらしく、当初は逃げ越しな対応だったそうです。しかしその後、顧問税理士は早くしないと間に合わなくなると言って手伝ってくれ、無事に金融機関も対処してくれ、預金の1/3の支払いが可能となったとの事でした。他には対した財産も無かったので、この顧客は、「あとは2人の兄弟で永遠に揉めてろ」とスッキリしたとの事でした。この顧客はお金が欲しかったのでは無く、いつまでも揉め事を抱えているのが嫌だったそうです。この顧問税理士のお陰で、長年のモヤモヤがスッキリしたとの事でした。

何事にも対応は早くという見本のような事例でした。それにしてもこんな専門家の違いで、方や払わなくてもいい税金を払う事になったり、方や余計な揉め事のストレスを解消してくれたりと、雲泥の差はどういう事なんでしょうか?。何とも言えない気持ちで一杯になってしまいます。

夏と秋が混ざったような景色。こういった何とも言えない風景は最高ですね😊。
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