前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

418.私の会社員時代、やってらんない記憶.88

これは、専門家がリスクリスクと言って何もしない事例です(前の会社にも、こういった連中はたくさんいましたが😅)。これを聞いた時、この国の専門家って、自分の顧客の将来をどうしようと思っているのかと愕然としたのを覚えています。

これも勉強会で聞いたある会社の顧問税理士の事例です。この会社、安定した業績で推移しており、そろそろ経営の引き継ぎを考えていた顧客との事でした。そしてここの会社の不動産の所有形態が複雑で、土地と、自宅兼会社の事務所兼賃貸マンションという建物を、社長と会社で半分ずつ持っているという物でした。社長の奥さんが、将来的にこの複雑な所有形態を何とかしたい、また、出来るならこの土地建物を社長個人の持ち物にして、老後はこの賃貸マンションの家賃と、会社に事務所を貸して家賃を取りたいと思っていたそうです。そしてこの事を会社の顧問税理士にずーっと相談しているのに、何も動いてくれないといった事例だったのです。

この時に対応したのが、この勉強会の講師の税理士だったそうです。その顧問税理士が何がリスクと言っているかと言うと、これも少し難しくなりますが、以下のような事でした。この奥さんは勉強家で、相続の事を色々調べている人だったそうです。そしてこの土地や建物の売買は、路線価や固定資産税評価額で行っても問題無いと書いてあったそうなのです。ここで豆知識です。土地の価格は一物四価と言われており、時価、公示価、路線価、固定資産税評価額があります。ここで奥さんは、この中で一番低い価格となっている、路線価と固定資産税評価額で会社から土地、建物を買いたいと、顧問税理士に依頼をしていたそうなのです。

しかしこの顧問税理士は「リスクがある」と言っていつも逃げ腰との事でした。とにかく、あまりにも低い価格の売買は贈与とみなされるとか、経費がかかるとか言って、いつもふらふら逃げてしまっていたようです。奥さんは税理士が言っているのは「低額譲渡」という物で、それについても調べたりしており、時価の半分程度の価格では抵触するが、自分の地域であればそれ程では無いので大丈夫ではないかと言っていたそうです。しかし随分と放っておかれた状態だったそうです。

そこで、奥さんがある日、取引金融機関に何気なく相談したところ、この講師である税理士を紹介する運びとなったとの事でした。この時はまた、金融機関っていうのは、色々な所に絡んでるんだなあと感心したのも覚えています。そして、この税理士は奥さんから色々な希望を聞いて、早速対処を始めたそうです。そしてまたその時に驚きがあったのです。この講師は、顧客の顧問税理士にとても気を遣っている様子が分かりました。この対策のみワンポイントで他の専門家を使うので、顧問税理士には良く理解して貰うようにと言ったというのです。私は何で何もしない税理士にここまで気を使う必要があるのか、とても不思議でした。そこまで専門家というのはプライドが高いのかと思った物でした。

これを聞いてると、以前、私のある会社の節税対策の話を思い出しました。この時は私が既に退職間際で、営業担当とある顧客の会社に訪問した時の話です。その時は仕事の話の後の雑談の時の話で、その時同席していた経理部長から我々に、笑い話のように話された事案でした。

部長の話によると、会社の節税の話を顧問税理士にずっと相談していたけどラチがあかず、金融機関に紹介してもらった専門家に相談した、という話でした。ここでも金融機関の登場です。それに感心しながら続きを聞きました。内容は、その紹介された専門家が、かなりマニアックな対策を提案して来た事から始まります。そしてこの内容を専門家から聞きますが、社長を初め経理部長までがチンプンカンプン。我々も資料を見せて貰いましたが、もちろん同様な感想でした。そして素人目に見ても、税務署がこんな対策を認めるのかちょっと心配な対策だったそうです。しかしその専門家は、既に実績があるので間違い無いと自信たっぷりだったとの事。社長はとりあえず一旦会社内で顧問税理士を含めて検討する事を伝えたのです。その時、その専門家から一言があったとの事でした。

「失礼ながら、御社の顧問税理士の回答は想像が付きます。リスクがあるから止めた方がいいと言うに決まってます。そしてその時にぜひ、理由を聞いて下さい。その回答も想像がつきます。とにかくリスクがあるとしか言わないと思います。」

社長はそれを聞いて少し憤慨したそうです。何も自社の顧問税理士を、そこまで馬鹿にする事はないだろうと思ったそうなのです。そしてその後、顧問税理士を交えた役員会を開催したのでした。経理部長がその後、この提案を勉強して噛み砕いて役員達に説明をしました。確かにマニアックな対策ですが、その節税効果はとても高いものがありました。役員も全員とは行かないまでも賛成の方向に傾いていたそうです。そして社長が顧問税理士に意見を求めました。もちろん事前にこの提案書を渡してありました。そしてその回答がまさに、この提案をした専門家が予想した回答と全く同じ言葉だったとの事でした。「リスクがあるので止めた方がいい」。社長は「どんなリスクで、メリット、デメリットは何か?」との問い掛けにも、「とにかくリスクがある」の一点張りだったそうです。これには経理部長は失笑してしまったそうでした。そして社長のガッカリした顔が忘れられないと言っていたそうです。

その後の事は不明ですが、この話も、専門家が自分の勉強不足を「リスクがあるからやめろ」との決まり文句で排除してしまうと言う、とても信じ難い内容でした。こんな事も、この国の失われた20年、30年に影響しているのかも知れませんね。

美味しい専門店も、進歩がなければ廃れてしまいます。専門家ならなおさらだと思います。f:id:x-japanese:20221120162200j:image