前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

414.私の会社員時代、やってらんない記憶.84

これは会社の引き継ぎの話です。ある中小の会社で、二つ興味深い事例がありましたので書こうと思います。

一つは後継者のいないある会社の事例です。この会社は小規模ながら手堅い商売をやっており、自社株の価値も結構ありました。そして社長には後継者のがおらず、長年片腕として頑張ってくれていた従業員に引き継ぎ出来たら、と考えていました。しかし所謂、全く血縁関係の無い第三者の引き継ぎは、当時から中々難しいとされていました。その1番の原因は自社株の引き継ぎでした。せっかく継いでくれる人がいるのにそれが難しいなんて、これ自体がこの国の意味不明なところだと思います。こんな事を改善しないから、この国の中小企業はどんどんと減少して行っているのは目に見えているのに、この国はこの状況を一体どうしたいのでしょうか。

私は職業柄、かなりの数の会社を見て来ましたが、起業して会社を大きくして行くのは、並大抵な事ではありません。それこそ、家族を犠牲にして寝る間を惜しんで全財産を注ぎ込み、組織を育て、あらゆるリスクに晒されながらも経営をして来たのです。こんな勇敢な人達には、それ相応のメリットも与えるべきだと思うようになりました。しかし現行の税制ではどうしようもありません。この社長も、そんな悩みが解決出来ず、ある専門家に相談してみたのです。

するとその専門家は様々な対応を提案してきたのです。単純な退職金方式からマニアックな方法まで、その中から一つの方法を勧められたとの事でした。その内容は難しく理解出来ませんでしたが、引き継ぐ人の1番のネックになる資金的な事がそれ程負担にならず、これなら引き継ぐ人も受け入れてくれるのではと思ったのでした。社長は早速それを、従業員に提案してみたところ、従業員はその提案に賛成してくれ、会社の引き継ぎの方向性が見えて来たのでした。それからは実際に行動に起こして行く訳ですが、引き継ぐ方と引き継がれる方の双方が同じ方向の為、実務的な事は順調に進んだのでした。

しかしここにも、ある落とし穴が待ち受けていたのでした。ある日、従業員から社長にお断りの話があったのです。社長としては晴天の霹靂です。原因は従業員の妻が反対したとの事でした。ここでまたもや、この提案は一方的だったと思われました。引き継ぐ方と引き継がれる方の双方がいいと思っていたら、引き継ぐ方の家族にその覚悟が出来ていなかったのです。確かに女性としては会社の代表になるなんて、これからどんな試練が待ち受けているか心配になります。妻が言うには「私は社長と結婚したのでは無い」との事。会社員の妻として、平穏な安定した生活を送って行きたいとの事だったのです。

その後、この話は白紙となり、その後の事は勉強会の事例なので不明です。ここまで想定してやらなきゃならない専門家というのは、本当に大変だなと思った事例でした。

そしてもう一つ、自社株の話です。これも無責任な行動が話をゴチャゴチャにしてしまった事例でした。この会社は既に息子が後継者となっていて、会社の自社株も75%近くを保有しており、会社の経営には何ら問題は無かった会社でした。しかし残りの株式を、死んだ父の弟である叔父が持っている形でした。そしてある日、この叔父から、この株式を買い取ってくれないかという相談があったのです。そしてその価格が、資本金の額の数倍の価格だったのです。これには社長も面を食らった感じだったのでした。社長はその当時は自社株の事などはよく知らず、そんな高い金額では買えないと伝えたそうなのです。しかし、叔父は自社株の価値を計算すると、それ程高い金額を提示している訳では無いと言ってきます。そして、それからと言うもの、会社の経営に色々と口を挟むようになって来たのです。所謂、嫌がらせです。

社長は銀行から紹介された専門家に解決方法を依頼しました。そしてこの専門家は社長の言い分をそのまま引き受け、それでは徹底的に安い価格で買う事を目標に進めましょうと言ったそうです。そして、叔父との自社株の価格交渉を進めて行ったのでした。社長はなるべく安い価格が希望だったのですが、叔父としてはなるべく高く買って欲しいと言うのは、理解出来ます。そして結局この話は決裂となりました。そして、それ以降、叔父は以前より増して会社の経営に口を挟むようになり、配当を要求したりして来ました。そして将来的にこの自社株は、買取が絶望的になってしまったのでした。別に75%も保有しているからいいのでは?と思うのですが、これは素人の考え方のようです。現在の事業引き継ぎでは、後継者家族が100%持つ事が望ましいとの事なのです。

これは、依頼を受けた専門家が、素人である社長に内容を説明して、金額はある程度こちらが泣く形になるが、早いうちに買い取るのが良かったようなのです。私はこの辺りは分かりませんが、第三者の株主が買い取って欲しいと言う時は、相手方がお金で困っている時が想像出来ると言うのです。その時は自社株を買い戻す最大のチャンスだそうです。この専門家は、多少金額が高くても社長に買い取る事を勧めるべきだったようです。この辺りまで行くと、私にはそれが正解なのかは分かりませんでした。

誰が「それは酷いんじゃない?」と言い出すかは、中々予想は付きませんよね。これが専門家の仕事なら、本当に大変だなあと思ったのでした。

蜂は美味しい蜜のある所をよく知ってますが、いい専門家なんて、一体どうやって探せばいいのでしょうね〜f:id:x-japanese:20221025132644j:image