前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

479.私の会社員時代、やってらんない記憶.112

このシリーズの最後にこんな悲しかった出来事は無かった、と言う事を書こうと思います。もちろん相手に対してもそうでしたが、自分に対しても何てマヌケだったんだろうと、腹立たしさを通り超え、本当に悲しくなった話です。

私は自慢じゃないですが、殆ど倒産や夜逃げなど、引っ掛かったり回収不能になった案件は無く、おそらく3っだけだと思います。もちろん保証枠や担保枠があってそうなった企業はありますが、会社に損失をもたらした案件は3っだけだったと思います。その1っは310回目のブログですが、その他に、今でも自分が悲しくなる事案があったのです。

ある日、ある会社の社長から、この度会社の従業員が独立するから面倒見てあげてくれと、依頼があったのです。私がまだ3年目位の時でした。中々無い事案だったので、すぐに上司に相談したのです。すると上司は、うちの店長とその社長とはとても仲が良く、是非対応してあげろという指示が出たのです。上司がその事を報告すると、店長は気持ちよく販売してやれとの指示。金額も大した事は無かったので、信用でいいとの事でした。社長もそれについて喜んでくれ、後日、その社員に会う事になったのです。

見た感じは普通の中年の男性でした。担保も保証金も不要という事で、その社員はとても喜んでました。資金決裁も売上が上がってからでいいという、破格の条件でした。そして店が中々決まらないので、決まったら直ぐに出店したいので、とりあえず社長の会社に卸してくれるかとの依頼がありました。社長もしっかり管理してあげると言うので、言われた通りに商品を持って行きました。そしてその後、この社員は退社。その後も社長とは連絡を取っているようなので、特に心配はしていませんでした。商品ももちろんそのまま保管されていました。

しかしある日の事です。今まで保管されていた商品が見当たらない事に気が付きました。私はすぐに社長に確認しました。そんな事は無いと、社長も周りの従業員達に確認しますが、誰も知らないとの事。すぐさま社長が独立した男性に連絡を取りますが、電話はいくら呼んでも出ません。まさかとは思いましたが、自宅へ行くと人の気配がありません。社長は「やられた」と言いました。社長もやはり商品を貸していたそうでした。弊社の商品はさすがにいい加減な対応は出来ないとの事で、ちゃんと独立が確認出来るまでは使わせないようにしてくれていたのです。他に必要な分は社長が用立てていたとの事でした。

その後は弊社も社長も被害者との事で、店長も社長を責める訳にも行かず、弊社は少額ではありますが損失を被ったのでした。社長もこうなった事についてかなりのお詫びをしておりましたが、弊社としてはどうする事も出来ず、諦める事となったのでした。店長はその後、社長の保証人を取っておけば良かったと悔やんでいましたが、授業料だと思って諦めると言っていました。それにしても憎っくきあの従業員、見たつけら只では済まさないと、私も悔しい思いで一杯でした。

この事件は、これで終われば普通の悔しい詐欺事件で終わるのですが、この後にオマケがあったのです。それから数ヶ月経ちました。私もすっかりその事件は忘れていました。店長や上司からの叱責も無く責任も問われなかったので、いい経験だった位にしか覚えて無かったのでした。

そしてある日、バイクでお客様回りをしていた時です。細い路地を走っていると、向こうから1人男性が歩いて来ました。一瞬、止まろうかと思ったのですが、相手の男性が避けてくれたのです。私は有難いと思い、すれ違い様、その男性を見ました。その時、どこかで見た顔だと思い、思わず営業の性か、おじぎをしながら「ありがとうございます」と言ったのでした。そして、「誰だったっけ?」と思った瞬間、その詐欺の男性だったのが分かりました。

あいつだ!、とっ捕まえてやる!」と、直ぐにバイクを転回させ追いかけましたが、既にそいつは逃走。行方を見失ってしまいました。その後もバイクを置き、所々走って見回しましたが、その後は全く分からず。時間も結構経ってしまったので、仕方無しに仕事を続けたのでした。その後は、腑が煮えくり返るとはこの事かと思う位、腹が立ちました。そしてそんな詐欺師に向かって、ご丁寧におじぎをして、「ありがとうございます」まで言ってしまった自分に情けなくなり、本当に悲しくなったのでした。あの時なんでもっと早く気が付かなかったのかと思うと、夜も寝られない位に腹立たしく、そんな自分に悲しくなるのでした。

こんな詐欺師は本当に許せないですが、その詐欺師に気が付かず、目の前にして営業の性とは言え、おじぎをして挨拶までしてしまった自分に、暫くの間、本当に許せなく、悲しい気持ちでいたのです。これを書いている今でも、そんな自分に悲しくなります。しかしこれもToshIの言葉では無いですが、この事件があったからこそ、その後、このような詐欺事件とか回収不能を起こさなかったのかも知れません。

悲しい事は本当に心に傷を負い、立ち直るまでに相当な時間と努力が必要と思います。しかしそれに打ち勝たないとなりません。それに打ち勝って、人間は成長出来るのかも知れません。人間、生きていると色々な事があると思います。でも負けないで、それを乗り越えられたら、それだけ自分が成長出来ると思ってやるしかないのかな、と思っています。

こんなネコなら逃げられても許せますよね。近所の地域ネコ、通称アゴヒゲです😅f:id:x-japanese:20230125213632j:image