前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

475.私の会社員時代、やってらんない記憶109

次の悲しかった話は、とにかく「無くせない」という事でした。既に売れなくなったり、時代遅れとなった商品などは、どんどんと無くして行けばいいと思いませんか?。また無駄な決まり事や既に定着した事務規定などは、どんどんと整理、または削除して行けばいいと思いませんか?。しかしこれが本当に無くならなかったのでした。

まずは商品の多さです。商品の種類はバブル景気の時に随分と増えたイメージがあります。何を作っても売れる訳ですから、同じように商品を少し変えたり、また同じ商品でも容量を変えたりと、色々なラインナップを作って、新商品だと宣伝しては売上増進を図っていた時期でした。しかしバブル景気も終焉し、中々売上も厳しくなって来ます。すると数ある商品の中で、全く受注が入らない商品とかが出て来たのです。そしてその分が在庫として残る訳です。また商品の種類も膨大になって来て、管理も大変ですが、倉庫も大変な事になります。決算の棚卸しなんかは、その頃はまだ休日出勤して人海戦術でやっていましたから、とにかく時間がかかるのです。また時折来る監査の時になども大変な労力となっていたのでした。

この頃の店では、あらゆる会議で、この商品数を減らして欲しいと要望を上げていました。しかし、そこで本部の連中が言うのは、「その商品は〇〇常務が発案した物だから無くせない」とか「あの商品は社長の一声で、開発に大金が掛かったから、売れないからと言って簡単には止められない」とか言うのです。要はその商品を作った人に遠慮して、その商品をいつまでもラインナップに置いておくといった考えなのです。これでは現場はやってられません。

また、事務の規定がどんどんと増えて行った事も、現場としては参った流れでした。これもコンプライアンスの一旦だったと思います。とにかく何か事件や顧客とのトラブルがあると、コンプラの部署の検証が始まり、結論は新たな決まり事が出来て、事務が煩雑になります。通達が来てその事務に対し研修があり、それ以降は監査の対象になり、事務のリーダーなんかはとても神経質になります。たった一つの事件やトラブルが起きると、その一人の為に会社全員が縛られるというこの現実。真面目に働いている社員に対しては全く無関心、只々また事件やトラブルを起こさないと言う事にしか関心が行かず、ちゃんと仕事をしている社員達は、本当にやってらんない感じになります。

そしてやはりこう言った流れは、現場としは、益々やりずらくなってくるのです。大半の社員はちゃんと仕事をしているのです。それをハナから犯罪者扱いされているような事務を求められる訳です。これも営業のみならず事務の会議でも問題になって来るのです。増える事はあっても減る事の無い事務規定。既に定着した事務もあったり、そもそもこんな規定は必要ないと言った規定もあったりしました。こう言った決まり事は、国や役所からの調査があった時の為にとりあえず作ったような決まりも多かったのです。こういった決まりは本当に意味の無い物が多かったのです。しかし本部は中々減らそうとしませんでした。私はなぜなのか全く理解出来ないで、本当に不思議だったのでした。

しかしその後、本部に異動した時です。コンプラなどを扱う部の連中と飲みに行った時の事です。私がこの決まりを減らして貰わらいと、店は大変だといった事を話した時です。その時の返答が衝撃的だったのでした。「決まり事は作ると評価されるけど、要らない決まり事を無くしても、特に評価されないんだよね。だからやる人がいないんだよ」。その時の私のショックと言ったら大変な物でした。そしてとても悲しくなったのを覚えています。本部の連中は、店や顧客が良くなる事など考えていないんだと思ったら、とても悲しくなったのでした。これで果たして、会社が良くなる物なのか。今まで店におり、会社や顧客の事を一生懸命考えていた私は、今までやって来た事は何だったのかと、本当に悲しくなったのを覚えています。

私の退職間際には、「上級国民」という言葉が流行りました。これは、国の偉い人達というのは、何か事件や事故を起こしても、罪に裁かれる事は無いという、変な特権意識をこう言った言葉で表したものでした。私は、本部の連中も、「自分達は本部にいる、店の連中とは違うんだ」といった、勘違い野郎達が多かったように思います。それは正に、我国の「上級国民」と重なって見えて、これではその組織は壊れて行くのではと実感したのです。現場を大切にしないこう言った連中が、この国や会社を衰退されているようで、本当に悲しくなる事象です。

とにかくシンプルが一番。富士山もこういったシンプルな形だから、皆から親しまれるのだと思います。f:id:x-japanese:20230125173431j:image