前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

269.私の会社員時代、やってらんない記憶.21

また何でもかんでもオーバーに言う上司にも困ったものでした。私はこの感覚がイマイチ分からず、どう説明していいのかが見当付かないのです。一言で言うと、大した事の無い小さい事を、凄い大変な一大事な事のように言うのです。そして店を大騒ぎにしてしまいます。例えば、店に顧客が挨拶に来たりする事は良くあります。たまたま近くを通り掛かったから挨拶に来て、「今度〇〇君に来るように言っておいて」と顧客が言ったりしたものなら大変です。なぜか最近担当者がその顧客に訪問していないような話になってしまうです。また本部から、効率化の一環で訪問頻度の見直しの通達があった時なんかは、顧客訪問がまるで禁止になるような事になってしまいます。また店の年間経費など、当初の計画と多少ズレる事があると、やれ条件違反だ、当時出始めたコンプラ違反だと大騒ぎします。こんな経費オーバーをする事は以前から多々あり、その場合は本部と交渉し事後稟議を上げれば殆どの場合は問題にならないのです。

この連中はその後コンプライアンスという物が幅をきかせて来ると、やたらとコンプラコンプラと言って煽るような感じで増殖して来ました。その最たるものが、前述の信用枠のオーバー案件でした。日々顧客の売上は変化するものです。信用枠というのは前年の決算書の売上から算出する事が多いのですが、前年が例えば今のコロナのような年だったら売上はもちろん下がります。なので今年が正常に戻っていたら売上は上がり信用枠も当然足りなくなります。こんな事は本部でも分かっていて、信用枠が超える場合は理由を明確にして稟議を上げればいいのです。しかしこの連中はそのひと手間をやりたがりません。今年の枠はこの金額なのだからこれを超えるのは稟議違反、コンプラ違反などと言う訳です。

また若い子達などは、当然失敗する事もあります。その都度この連中は、注意力散漫だとか始末書ものだとか大騒ぎします。若い子達はあまりにもこの連中が責め立てるので、やる気を失ってしまいます。またこれを周りで見ている子達は、今度は自分がそうなったら大変と、事務から逃げるようになってしまいます。これは仕事をしない奴に特に顕著な行動でした。

一時、事務ミス記録なるグラフが食堂に貼られた事がありました。これは事務の女性達の事務ミスがどれ位あったかを明確にするグラフです。確かに事務ミスはいけませんが、要するに見せしめです。しかし私はこのグラフを見てある事に気が付きます。普段、営業が事務の女性に色々と仕事を依頼をする事が多いのですが、当然、気持ち良くやってくれる子と嫌がる子がいるのです。そして、この気持ち良くやってくれる子のミスが、このグラフを見ていると多いのです。そしてやらない子はと言うととても少ないのです。この時点で既にグラフの意味が無いのです。やらない子はその辺を分かっている、ある意味、腹黒い奴なのです。どちらかと言えば、こっちの腹黒い奴を何とかする必要があるのです。しかし、これについてコンプラオヤジ達が嬉々として騒ぎ出します。事務ミスが多い子を責め立てるのです。

これには私は反論しました。この気持良くやってくれる子は一体どれ位の事務量なのか。そしてこの事務ミスが少ない子の事務量はどれ位なのか。これでは公正なグラフにならないじゃないか、と。当然、事務ミスの少ない子は殆ど営業からの事務を受けていません。やらない子が少ないのは当たり前です。そうなると、やってくれる子に仕事が集中し繁忙となり結果事務ミスを起こし、こうやって吊るし上げられたらたまったもんじゃありません。私はこのグラフにミスの数だけでは無く、受付した数も入れるよう提案しました。こういった、腹黒い仕事をしない奴等は男女を問わず本当に許せませんでした。

それは営業にも言えました。日々営業に出ていれば、多少のトラブルはツキモノです。しかしこのコンプラオヤジ達は、多少のトラブルや苦情にやたらと反応します。そして言うのは結果論です。何でこうなったのか、ああすれば良かった、こうすれば良かったと、ガミガミと捲し立てます。それよりトラブルに対処して欲しいのに、それは後回し。そしてこれも、事務ミスと一緒で、たくさん頑張っている営業ほど多いものなのです。それだけ件数を多く関わっているのですから、確率的に増えるのは当たり前です。しかしそんな事はお構い無し。

結果、事務も営業も、仕事をやる子は馬鹿を見る感じになり、段々と仕事をしなくなります。それはそうです。関わる仕事が減れば、ミスだって苦情だって比例して減って行きます。究極を言えば、仕事をしなければミスはゼロになります。これは運転免許のゴールド免許制度に似てると思います。違反が無ければ、優良運転者としてゴールド免許になる訳ですが、運転して無い人も同じ扱いになるのと同じです。運転している人と全く運転して無い人が、同じ無違反だからと言って同じゴールド免許とはこれ如何に!。先日、「この国は何もしない人が得をする国になった」と言っていた、テレビのコメンテーターがいましたが、まさにこの社会はそうなって来ていると思います。そしてこのコンプラの時代は、業績を上げる事よりコンプラ上の減点が少ない方が、ウケがいいような状態になってしまったのです。

そしてこの頃はバブル景気が弾けて、延々と不況が続いていた時代です。失われた20年などと巷では言われ始めていました。そしてこのコンプライアンスが主流になってくると、益々仕事から逃げる連中が多くなって来る感じがしました。不況も相まって会社の業績は次第に悪化して行きます。すると会社側は人件費等の経費節減に動きます。あらゆる経費がカットされ利益を計上するようになって来ます。このコンプラの中では、敢えてリスクを冒して売上や利益を伸ばそうなどという挑戦者は出て来ません。これは私の会社だけでは無く、この国の会社の殆どが、コンプラの呪縛に縛られてしまったと、私は実感しているのです。そしてこの国は出口の見えない不況から脱せず、今現在に至っているのだと思います。コンプライアンスについては思う事が多いので、この後も続けて関連した物を書こうと思います。

この位オーバーに盛ってくれるご飯はウェルカムですねf:id:x-japanese:20220808123519j:image