前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

455.私の会社員時代、やってらんない記憶、106

次の名言集は、何とうちの妻の言葉です。その言葉は、「変えられるのは自分だけ、他人は変えられない」「ちゃんと腑に落ちないと人は分からない」です。要するに人間が生きて行く中には、様々な人達と関わって行く訳ですが、やはり色々とぶつかったり、ぶつかられたり、意見の相違はもちろん育って来た環境の違い等、中々平穏には暮らして行けないモノです。時には相手に変わって欲しいとか、こうあって欲しいとか言い合いになる事だってあります。これは社会生活ではもちろん、夫婦の間だってそうです。私も若い頃は中々ヤンチャ者で、妻には随分と迷惑を掛けてきました。また、結婚したての頃は、会社のせいにする訳では無いですが、随分と会社でイジメを受けていた為、そのとばっちりを妻が受けていました。

恥ずかしい話ですが、初めての夫婦喧嘩は、毎日の帰りが遅い事でした。普通に帰っても夜の9時を過ぎる事はザラ。その上、飲みに連れて行かれる事も多かったので、午前様も日常茶飯事。私としてもパワハラアルハラでそうされる訳ですから、仕方無い、自分のせいでは無いと思っていたのです。この事については妻からは良く言われていました。比較的若く結婚したせいもあり、それ程裕福には暮らせていなかった事もあり、妻はそんなに飲みに行かないで欲しいと、良く言っていました。その都度、私は「分かった、分かった」と言いながら「付き合いだから仕方ないだろう。」と言い訳をしていたのでした。そして、「なるべく行かないようにするよ」とか「今後、気をつけるよ」と言ってはぐらかしていたのです。

しかし、こんな事が続き、妻もさすがに堪忍袋の緒が切れます。ある日、毎日遅い事に、怒り出したのです。自分としてもこうなっている原因は会社のせいだと説明します。しかし妻は納得しません。絶対に全員が飲みに付き合わされているのかと、詰問してきます。理論はこうです。「中には行ってない人だって絶対にいるはず。あなたが絶対に行かないと決めて無いから飲みに行くのだ。私との約束を守ろうとしない、あなたが悪いのだ。」と言ったのです。自分は「そんな事は無い、無理やりに連れて行かれるから帰れないんだ!。自分のせいでは無い。」と、憤慨。結構長い間、夫婦喧嘩となったのでした。

しかしそう言われて会社で良く見てみると、確かに毎日のように上司達がアルハラを掛けて来る中でも、何と無く逃れている先輩や同僚がいたのでした。しかしその連中は私からすると、うだつの上がらない奴らに見えるのです。そんな連中と一緒にはなりたく無い。自分としては将来は出世だってしたい。ある程度付き合いは必要なのだ、コミュニケーションは必要なのだ、と何だかんだ理由をつけて、この飲みの付き合いは止めなかったのです。

そして、相変わらず飲みや午前様を止めない私に向かって、妻はある日、「私はあなたを変えられない。変えられるのは自分だけ、あなた自身だけ」と言ったのです。そして続けて、「なぜ変えられないか、それは私の願いが腑に落ちて無いから。」と言ったのです。私はこの意味が分からず、相変わらず「仕方無いじゃないか」とか「おれだって一生懸命やってるんだ」と言った態度で、その場を収めていました。その後も違った事で喧嘩になる事があると、妻はよくこの言葉を言っていました。

そして、この言葉がやっと理解できた時が来たのです。それは随分と経過したある日の事です。このブログのテーマの一つでもある、ダイエットの為にランニングを始めた時なのです。この頃は長年の飲酒と運動不足が蓄積されて来て、私は毎年のように、メタボ健診で引っ掛かっていました。妻には毎度、ダイエットをしろと言われていましたが、自分は何とかしようとは思っていましたが、中々一歩が踏み出せない感じで、ずっと来ていたのでした。

そんな中年太りで大変な最中、妻がランニングをしている事に気が付き、自分も始めてみるかと思った時があったのです(98回目のブログをご覧下さい)。この時に妻のスッキリした体型を見て、「これは走るしか痩せる道は無いか!」と思った事が、まさに妻の言う「腑に落ちる」事なのでした。そして腑に落ちる事により、自分を変えられるのです。正に、今までいくら妻や健保の人達、さらに両親までもが、ダイエットしろ、痩せろ、と言っていても、自分がその気にならなければ始まらないのです。この時に初めて、妻の言っていた、「腑に落ちないと分からない」、そして「自分を変えられるのは自分だけ」という言葉を認識したのでした。

そして、このランニングは偶然にも、飲み会にも派生して行きます。段々とランニングにより効果が出て来ると、飲み会よりも走るのが楽しくなり、また、飲みに行った翌日にランニングに影響が出るのが嫌で、結構な割合で断る事も多くなって来たのです。確かに昔に比べて歳も取り、営業部の中でも中堅からベテランの部類になっており、アルハラを受ける立場でも無くなっていた事は確かですが、それでも相変わらず店長や上司からの飲みの誘いは多くありました。そんな飲み会も、この頃はかなり断るようになっていたのでした。これも自分では信じられない事でした。あれだけ、断る事が不可能だと思っていたお酒の付き合いが、ランニングやダイエットをやりたいが為に断っている現実に、自分としても信じられない気持ちがありました。これも所謂「腑に落ちる」事で飲み会を断ると言う「自分を変える」事に繋がったのでしょう。

この一連の出来事は、妻の言葉の真髄は凄い事だったのだと、改ためて思ったのでした(その頃読んだ、養老先生の著書、「バカの壁」を読んだ事も影響していたと思います😅)。そしてこの言葉は、もちろん部下の指導にも役に立ちました。この部下は私の言葉が腑に落ちているのか、自分の行動を変えられるのは自分だけ、その認識がこの部下にあるだろうか、と思うようになり、その後、随分と部下指導がやりやすくなった感じがしました。

こんな身近な人がこんな立派な名言を持っているなんて本当にビックリでしたが、今でも妻は良くこの言葉を使っています(私にでは無いです😅)。「変えられるのは自分だけ、他人は変えられない」「ちゃんと腑に落ちないと人は分からない」。これは前の回に書いた「心技体」の話に通じる物だと思います。私もこの言葉は、本当にそうだといつも感心しています。でも中々自分では気が付かないモノ。結構重い言葉だと、今でも思います。

ススキを綺麗に撮るのは逆光がオススメ。そんな視点を変えた撮影も楽しいものです😊f:id:x-japanese:20230208144733j:image