前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

454.私の会社員時代、やってらんない記憶 、 105

次の名言は「心技体」と言う言葉です。これはこの言葉の順番が正にその通りだと思うからです。この言葉は最近は本当にさらに実感している感じです。

私はこの言葉はもちろん昔から知っていましたが、相撲や柔道の世界の言葉位にしか思っていませんでした。またその頃は、仕事もそうですがスポーツや趣味にも大切な事は、まずは技や知識だと思っていました。特に会社に入ってからは色々と苦労した分、それに対抗するためにスキルを磨く事や、知識を付ける事に必死になっていました。とにかく何をやるにもまずはスキルや知識が最重要と思っていたのです。この言葉の順番からすると、「技体心」が正解と思っていたのです。というか「技」だけでいいと思っていた位でした。これは若い時に特に思っていたと思います。この考えにブレが出始めのは、やはり営業のリーダーになった辺りの時です。

よく部下達、いえ、上司達を見ていても、いくらスキルや知識を備えている人でも、ロクな仕事をしていない人がいます。また、「腐ったみかん」という諺がありますが、これは悪い奴がいるとその周りも悪くなって行くという例えですが、いくらスキルを持った人間を集めても、その中に心根(敢えて心根、こころね、と言います)の悪い輩がいると、その集団は腐っていく物であるという例えです。ちょっと前にテレビで放送していた「金八先生」でも話題になった言葉です。

ある日、そんな代表的な事象に遭遇したのです。当時の部下に中々デキる部下がおり、ある時に、本部から指示が来ている商品の、売上推進の責任者になって貰った社員がいました。店長からの受けも良く、いずれはリーダーに推薦したいと言われていた若手でした。そして推進が始まりました。しかし売上は上がりません。剛を煮やし責任者に言うと、売上が上がります。そしてその繰り返しが続きました。そして最後の最後に責任者が獲得してようやく達成、私はホッとしたのでした。私はもちろん、さすが店長が推薦する奴だなと感心して、その責任者に良くやったと褒めました。そしてそれは終わったはずでした。

しかしその後、何かの時に、この責任者と若い連中が話しているのを聞いてしまったのでした。内容は、「推進なんていう物は、獲得出来ても最後まで隠しておく物だ。上司から言われてから、その獲得した数字を出せば上司は、良くやったと喜ぶんだ。」と、言っていたのです。これには呆れて物も言えませんでした。こいつは仕事を舐めていると感じ、どうりでこの推進は変な感じがしていたのです。その後も、色々な推進があると、その責任者がそんな感じなので、営業全員も獲得した数字を素直に出しません。こんな事をやられたら、営業部の全員が疑心暗鬼になり仕事など出来ません。その一件から、営業部の雰囲気が数字の調整に目が行くようになっているのを感じました。一人、このような人間がいると全員がそのようになるとう典型的な出来事でした。

この一件から色々と考えるようになりました。やはりいくらスキルや知識があっても、それだけではダメなのかも知れないと思ったのでした。その後、昇進の相談が店長からありましたが、私はもちろん、この責任者は推薦出来ないと報告しました。そしてその後も、この推薦の判断もそうですが、私が思ったこの疑問はずーっと私の頭から抜けませんでした。その後、この答えが見え出したのは、私が始めたランニングを始めた辺りからでした。

ランニングは、いくら体調が良い時でも、精神的な不安やらストレスやらを感じていると、中々良いタイムが出ない事が多くありました。また寒い日なんかも走る気力が出す、タイムは良く無い事が多くありました。まずは気構えとか気力の充実が必要なんだろうと自分なりに観察していました。その後も色々と本を読んだり、研究したりしていると、まずは目標が無いと人間はダメな事が分かって来ました。自分もランニングを始めた時、まずは目標を決め、それに向かって努力をしていました。こういった精神的な物が大切なのが、段々と感じるようになって来たのです。

そして、私は本部へ異動。答えが出る前に営業の第一線からは退いてしまったのですが、その後もこの答えを探す事を続けていたのです。そして、この頃に改めてやり出したゴルフも、随分と心という物を認識させるスポーツでした。このスポーツこそ、精神的な事が影響するスポーツです。この時の悪戦苦闘ぶりは136回目からのブログを読んで貰うと分かると思います。このゴルフをまたやり出した事により、心とか精神とかを考えるようになったのでした。

この頃から、お正月になると箱根駅伝を見るようになっていました。そして、昔と随分と学校の顔ぶれが変わったなあなどと思いながら見ていたのです。その時、ある駅伝部の監督の言葉が紹介されていました。それは「心の良い選手が一番。記録よりも努力する心、強い精神力を持っている子をスカウトしている」と言った言葉がありました。この監督は続けて、「自分も始めは、あらゆる高校に出向いて、いい記録の子ばかりをスカウトしていた。しかしある高校の先生から、そんな採り方ではいい部は出来ないと言われた」、とも言っていました。

この言葉を聞いて、やはり心って大事なんだと思ったのでした。漠然と答えの無かった問い掛けの解答が、箱根駅伝から出て来たのでした。やっぱり、まずは心が大切。その監督は、心が悪い輩は、やはり組織を壊したり周りに悪影響を与えるとも付け加えていました。まずは健全な心が第一なんだという事が、やっと分かったのでした。

その後は、私は肺炎や前立腺癌を患います。そしてこの時、もう一つの言葉、「体」を感じずにはいられないのでした。何をするにしても、身体が健康でなければなりません。健康だと分からない、病気を患って初めて認識出来るのです。

そして「心技体」という言葉が名言なんだと改めて思ったのは、もう私の退職間際でした。とにかくまずは心根のいい人間に育てる事、その次に知識、スキル。そしてそれに必要なのは健康な身体。この言葉がもっと早く認識出来ていれば、私の会社員生活は、もっといい方向に行っていたかもしれないと思うと、残念でなりません。

心では無く心根が肝心。心の根っこがどうなのかが重要なのです😊f:id:x-japanese:20230126075458j:image