前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

453.私の会社員時代、やってらんない記憶 、 104

次の名言集は、初めて聞いた時は何とも思わなかったのに、後々ジワジワとそう思えてきた言葉です。

まずは「セールスとは知らせる事」です。これはそれを聞いた時は、それは違うでしょう、と思った言葉だったのです。この時は私が中堅営業で結構バリバリやっていた時、その時のリーダーが会議の時に話していた言葉だったのです。このリーダーは、今までのリーダーが病気になり長期休養となったので、ピンチヒッターでやって来たリーダーだったのです。失礼ですがお歳も召しており、我々営業の連中は、こんな歳のオジサンに営業のリーダーが務まるのか心配していた位だったのです。

そのリーダーが事ある毎にこの言葉を言うものですから、何となく頭に残ってしまっていたのです。営業の会議では、ひたすらと、「とにかくお客様にこんな商品があるとか、こんな事をやっているとかを知らせればいい」と、言い続けるのです。私は、こんな小学生でも出来るような事を言い続けるリーダーを、ちょっと蔑んだ目で見ていました。そして私はその店を転勤、そんなリーダーともお別れしたのです。そしてその後、私もそのリーダーと同じ立場になりました。そして初めて部下を持つようになった時です。

店の業績が自分の肩にのし掛かるストレスは半端無く、かと言って自分が全て動く訳にも行かず、部下達に活躍してもらわないといけくなるのです。そして私は会議の場で、自分の知識や経験やスキル、また案件の事例などを全て開示して、このようにやればいいという感じで、部下達にハッパを掛けていました。しかし業績は思いように上向きません。こんなに情報開示してなぜ数字が上がらないのか、これもストレスとなりました。リーダー研修にも出ましたし、リーダーの為の本も読みましたが、一向に変化はありませんでした。同行訪問もたくさんやりましたが、成果は上がりません。途方に暮れるとはこの事かと、毎日がストレスでした。

そして万策尽き果てた辺りに、ある新人との同行訪問がありました。この時に何となく新人の対応を見ていました。すると時候の挨拶とか、顧客との会話は問題無くされていますが、肝心の商売の話に中々入って行けていません。その後に私はその新人に向かって、「なぜ本題に入らない?。今日の目的は新商品の案内だろ?」と言うと、その切り出し方が難しいと言うのです。私は、「簡単だよ。会話の後に、ところで、と言って切り出して、パンフレットを出せばいいんだよ。顧客に見せればいいんだよ。」と説明していたのです。「あとは顧客が食いついたら我々が面倒見るから。とにかく知らせる事!」と言った時、私はハッとしてのです。これはあの時のリーダーの話では無いかと。

そのリーダーは既に定年していたのですが、ある先輩の送別会で偶然会う事が出来たのです。その時にその言葉の意味を聞いてみたのです。すると、「部下に指示する時はシンプルに具体的に言うのが一番。その言葉こそ、知らせる事なんだよ。」と、言われたのでした。この時は営業の秘訣がこんな簡単な事だとは、と、ショックでしたが、今までの自分のやり方が上手くいって無かったので、それから営業の会議では、「とにかく知らせる事を徹底する事!」と言い続けました。すると、受注が増え出したのです。

その後も、もっと違った営業のやり方があるはずだと思い、色々と勉強しましたが、簡単に言うと全て「知らせている」事に辿り着くのでした。テレビや新聞の宣伝もそう、ネットだって、如何に目に付くかを競っています。顧客へのプレゼンテーションだって、考えてみると一生懸命に知らせている訳です。結局、我々がやっている営業とは、突き詰めて簡単に言うと、「知らせている」のだと言う事に気がついたのでした。あの頃バカにしていて言葉を、今更ながら奥の深い言葉だったんだと、感慨深く思ったのを覚えています。

また、同じような言葉に、先輩がよく言っていた、「継続は力なり」がありました。この言葉も、私が若い時に、良く班長である先輩から言われた言葉でした。とにかく続けてみろ、諦めるな、と言う事を毎日のように言われていたのでした。これも若い頃は、当たり前じゃないか、とか、続けたって駄目なものはダメ、と思っていたのですが、やはり自分がリーダーになって、改めて続ける事の大変さ、重要さを身に沁みたのでした。

そう言えば、私の好きな映画、「フーテンの寅」さんも、今では絶大なる指示を受けていますが、一時は「マンネリ」だとか「いつまでやるんだ」とか、散々に言われていた時がありました。しかし続けて来た事で、大きな評価を得ているのだと思います。そう考えると、私の好きなX-JAPANも「知らせる」事を一生懸命やっていました。「とにかくいい音楽でも聞いて貰えなければ始まらない」と、彼等はバラエティー番組にも出たし、派手な演出もしたし、当時のロックバンドとしては掟破りな活動をしていたのです。その為、周りからは「ロック界のゴミ」と言われた時もあった位だったのです。しかしそれを継続させた事により、日の目を見たと言ってもいいと思います。どちらも営業という意味では成功したと言えます。

人間、確固たる目標に向かって、色々な人に「知らせて」行き、そしてそれを「継続」して行く。これが営業の秘訣なんだろうと、最近はしみじみ思っています。「知らせる事を続ける」。そしてなるべくシンプルな言葉で伝えようと思ったのもこの頃からでした。
後からじわじわくる物って、結構ありますよね。この石像も後からじわじわと来ました😊f:id:x-japanese:20230124224835j:image