前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

311.私の会社員時代、やってらんない記憶.50

長く営業をやっていると、本当に色々な事があります。前回のように顧客とのトラブルももちろんそうですが、その結果、顧客からの苦情になり取引解消に繋がる事も多々ありました。その中で、落ち度という意味では明らかに顧客側に責任があるのに、こちらのせいにしてやたらと苦情を言って来る顧客も多くいました。そんな事を3っ程書こうと思います。

まず1っは、ある時、部下から顧客の苦情の報告がありました。その顧客とその部下は、結構いい感じでコミュニケーションが取れていたと認識していた私、この話は意外でした。内容は信用額が増やせず、今月の販売が出来なくなってしまったとの事でした。補足すると、私がリーダーを勤める頃は不景気が続いていた時期だったので、公的団体や業界組合などから保証枠のような物が出来て、それを申請すると担保や保証金が無くても、この保証枠を利用して商品を販売出来るようになっていたのです。もちろんこの信用枠は他社との奪い合いになります。

この顧客もこの信用枠を取って、弊社で販売する話がまとまっていたのです。部下に聞いた所、その信用枠が他社で使われていたのと事だったのです。そんな事は相手の会社の問題だろうと言った所、社長がとにかく怒り狂っているとの事でした。早速その会社に部下と訪問。社長の話をまず聞く事にしました。社長の話は単刀直入で、なぜ販売が出来ないのかと突っ込んで来ます。部下は、約束していた信用枠が取れなかった話を説明します。それでも社長は納得しません。

そして部下をけなし始めたのです。部下は謝っているばかり。しかし、この部下はちゃんと話し合いの通り動いた結果、信用枠が他社に使われていた事でそれが出来なくなったと言っているのです。その後も社長は部下を責め立てます。私に向かっても、この部下は最低だと言い始めました。そこで私はさすがにそれは言い過ぎだろうと思い、社長に反論しました。この案件について報告を聞いているが、全くこの部下に落ち度は無いし、この部下は普段から一生懸命やっているいい部下であり、そんなにけなされるのは返って心外である、と。 

社長は今度は私に向かって怒り出しました。こんな時はこちらは冷静に対処しなくてはなりません。言いたいだけ言わせて少し落ち着いた時に、大体この原因は何なのかを考えて欲しいと言いました。私が部下から確認したのは、お宅の経理にこの信用枠の話をして、他社で使っていない事を確して進めていたはず。なぜそれが他社で使っていたのか、経理もそれを把握していなかったのはなぜかと、問いただしました。社長はそれを言われると口ごもり始めました。

「部下は御社の情報を元に動き出した訳だから、その元が間違った情報だったとすれば、それは御社に責任があるのではないか」と畳み掛けました。そして続けて、「御社の責任であるこの案件の事で、なせ弊社の部下が叱責されなきゃいけないのか」と社長に言いました。すると社長は私に逆ギレ、直ぐに帰れ、二度と来るな、と言いました。私はすかさず席を立ちました。そして、この部下は優秀なので、今回の案件や今後の事についてはよく相談して下さい、と言い残し会社を後にしました。もしかしたら取引解消になってしまうか心配になりましたが、それよりも部下のプライドの方が大切です。もし店長に責められてもそれは甘んじて受けるつもりでした。

その後、部下が帰ってきて報告がありました。どうも社長が、他社の販売をこの信用枠を使った物だと思ってなかったらしいのです。その他社がちゃんと説明していなかったから悪かったのです。あの後は社長も落ち着き、今月の販売の話が出来、少し抑えて稟議書を書いて申請する事にしたとの事でした。社長はその後、他社の営業を呼び出し叱責したとの事でした。この他社の営業には本当にやってらんねー感じでしたが、当時はこういった嘘まがいの営業をやっていた奴が結構いたのです。

その後は、この会社と部下は元の通りいい関係を続けられました。社長はその後も私の事は気に入らなかったようですが、それはこの部下と上手く行ってくれていれば良かったのです。その後、この部下からは、自分を信じて守ってくれた事が嬉しかったと言われましたが、そんな事はリーダーとして当然な事でした。部下や弊社が言いがかりのような事で叱責される事など私は許せません。それだけのプライドと、しっかり部下の仕事振りを見ていれば、顧客であっても毅然とした態度で接して行こうと思っていました。こんな事を部下が感じてくれただけで、リーダー冥利に尽きると思った一件でした。

上司、部下のお互いの信頼が、平穏な会社員生活を構築してくれると思っていますf:id:x-japanese:20220823153555j:image