前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

301.私の会社員時代、やってらんない記憶.46

長い間営業をやっていると、本当に様々な事が起きて、それはそれはスリルある事案や危機一髪な対応など、バラエティに富んだ生活を送っていました。その中で4つを書こうと思います。

1つ目は、長期休暇となると何故か必ず問題が起きた事です。その中で一番大変だったのは、家族旅行でハワイに行った時でした。この旅行、JTBのようなメジャーな会社では無くあまり聞かない会社で、金額も超お安い価格だったので当初から心配していたのですが、案の定ダブルブッキングを起こし、旅行会社から我が家に連絡があったのです。内容は土曜日出発を金曜日出発に変えて貰えないかとの事でした。こう言った旅行会社や航空会社の依頼は、その見返りが結構お得な事が多いのです。この時は往復ビジネスクラスに準じたシートにしてくれるとの事でした。出発時間を聞いた所、その時間なら何とか会社から間に合いそうでした。私は二つ返事でOKを出し、早速妻とその準備をして旅行に備えていました。

妻は金曜日から休暇を取っていたので、先に子供達を連れて成田空港まで行って貰い、私が電車で後から向かうというスケジュールを組みました。仕事も順調、しかし出発の週にある顧客から受注がありました。その顧客はサブサブメインの先で、時折、小ロットの受注が来る位だったので想定外ではありましたが、内容を聞きに行きました。すると今月だけメインの会社からの仕入れが枠のオーバーで出来ず、当社を使いたいとの事でした。しかし信用的には結構な金額となります。本部に稟議を出している時間はありません。仕方無しにある程度、保証金を積んでもらいその希望額を販売する提案をしました。店長にも相談し、OKを貰いました。後は商品を準備し、顧客から一定の書類と資金を振込んで貰って終了。これで無事に旅行に行けると気分はルンルンでした。

しかしこの案件には落とし穴があったのです。無事決裁も貰い資金も振込まれ、顧客から必要書類を貰って来ました。そして月曜日に代わりの営業担当に配送して貰う手筈を整え、会社で帰る準備をしていました。営業室では今夜の便でハワイに行く私の話で持ちきり。先輩や後輩から、嫌味や羨望の混ざった声援(?)を受けていました。私も調子に乗り色々と浮かれていました。

すると突然、事務の係が大慌てで営業室に駆け込んで来ました。何と会社の謄本が無効だと言うのです。これは難しい話なのですが、今回の話には会社の証明となる登記簿謄本という物が必要で、それを顧客から貰って来たのです。しかし謄本と言うものは、運転免許証のように数年毎に更新が必要なのです。この会社はそれを忘れていたようなのです。私は一瞬で顔が真っ青になりました。既に時間は5時を過ぎています。店を出るタイムリミットは6時10分。その時間までに出て電車に乗り東京まで行き、成田エクスプレスに乗らないとなりません。急いで顧客へ電話をしますが、従業員が出ましたが、社長は捕まりません。今のようにケータイなど無く、その従業員に内容を話しますがラチが開きません。時間は刻々と迫って来ます。

仕方なく、店長とリーダーに相談に走ります。店内が大騒ぎになりました。それを見ていた営業の先輩や後輩は、陰でクスクスと笑っています。折り返しの電話も掛かって来ません。しかし更新されていない書類は無効です。それを押して販売するなんて、そんな事は流石に出来ません。旅行は中止か、と一瞬頭をよぎりました。6時を回りました。既にタイムアップの時間です。

するとこの時の店長は結構肝が座っていた人で、後はこちらで何とか対処するからもう帰っていい、と言ってくれました。私は大急ぎで鞄をしまい、着替えの為に営業室を出ました。その背中には大勢のヤジやら応援やら、中には大笑いしていた声もありました😵。その後は必死で駅まで走り東京駅へ。東京駅の地下ホームまで辿り着くと、ちょうど成田エクスプレスがホームに入って来る所でした。まさに間一髪。その後、成田空港で私は家族と合流。すぐさま店に電話を掛けましたが、既に留守番電話となっていました。当時はケータイも無く、社員連絡簿も持っていなかったので、店長やリーダーとの連絡も取れず、月曜日に連絡を取るまでは旅行どころではありませんでした。

月曜日に国際電話で店に電話をし店長に確認すると、あの後直ぐに先方から連絡があり、とりあえず保証金で買えるだけでいいとの了解を取ってくれたとの事でした。この時は本当に上司のありがたみを感じました。しかしこの時の上司が、やってらんない上司だったらと思うと、空恐ろしいと思ったのも事実でした。そしてその後はハワイ旅行を満喫しました。

翌週、会社に行って早速店長とリーダーにお礼をして、その後の顧客の様子を確認しましたが、弊社との取引はどうも解消するとの事でした。これにもこの店長は、そんなだらしない顧客は取引していても仕方が無いと許してくれましたが、これについても、これがやってらんない上司だったらどうなっていたかと思うと、思わず胸を撫で下ろした事を覚えています。

上司やリーダーによって、こんなに部下達は救われるものだと言うことを、この時は痛感したのを覚えています。昔、どこかの球団の選手が「ベンチがアホやから野球がでけへん!」と言って引退しましたが、やはりベンチ、この場合は店の上層部の人達は優秀でないと、現場はやってらんないですよね。

早く海外に気軽に行ける時代が来るといいですねf:id:x-japanese:20220822143543j:image