前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

273.私の会社員時代、やってらんない記憶.25

このコンプラ店長の下では本当に色々とありました。ある日、顧客のゴルフの会の旅行があり、ある部下が私の補助で付いた時の事です。とにかく何もしたくない、何も事を荒げたく無いこの店長は、何か問題が起こるとますば怒るのです。この時も急なキャンセルが一件出たのです。それが、何かの行き違いで連絡が上手く顧客に届いていなかったのです。この店長、こう言ったトラブルは大嫌いです。もし本部にでも苦情が入ったら大変。当然に私と部下は店長から大叱責。私は、やってらんね〜、と思いながら聞いてましたが、この部下は顔面蒼白状態でした。そしてお説教が終わり、その後、旅行代金の返金の手続きがあるので、その部下にお金を届けるように指示しました。しかしここで事件が起きたのです。

数日後、私の所に顧客から電話がありました。幸いにも苦情にならず、私は再度お詫びをして内容を聞くと、どうも返金を貰っていないとの事。私はその後、部下に何気なく、返金はどうした?と聞きました。するとその部下は正に血の気の引いた顔で黙っています。私は、まさかと思いました。事務の預かり物の中にも、そのお金はありませんでした。返金のお金をくすねてしまったのか。これは一大事です。下手をするとその部下は横領事件となり、即刻クビです。私もそれ相応の処罰を受ける事になります。店長も同様ですが、おそらくそいつは私に全責任を押し付けてくるでしょう。一瞬真っ暗になりましが、その部下を別室に呼び、お金はどうしたのか聞きました。すると信じられない言葉が。

その部下は率直に話してくれた、と言うか、やっとこの緊張から解き放たれたように、今までの事を吐露しました。内容は店長に叱責された事で、その顧客に返金を届けられなかったとの事でした。もし返金しに行った時に、顧客から苦情を言われたらまた怒られると思い足がすくんでしまったとの事。その顧客の家の前で何度も行こうと思ったのだそうです。そして数日間、そんな事を繰り返していたそうです。お金は勿論使っておらず自分で持っていました。私はその言葉を聞いて何も言えず、本当に相当なプレッシャーだったんだろうと思い、気の毒になってしまいました。

しかし事件は事件です。この辺りがまたコンプライアンスの嫌な所です。昔だったら直ぐに、菓子折りでも持って返金に行って謝って終わりというシチュエーションですが、この時は既に事故報告なる物があって、このような事案は全て本部に報告しないといけないのです。この事象からすると、これは顧客の現金を数日間横領したと言う事になり、部下と私と店長は厳罰を受ける事になります。そして店長に報告しました。当然に大叱責を受けると思いきや、店長はかなり動揺して狼狽えるばかり。私が本部の報告の件を打診するとそれに対しては、するな!、との返事。この辺りの回答は早いです。結局、本部への報告をせず、昔ながらの菓子折りを持って謝りに行き、事なきを得たのです。おそらく自分も罰せられると思ったので、本部報告はしなかったのです。しかしそのお陰で、私も、この部下も厳罰になる事を免れました。しかし、その後、その担当は店長から徹底的にマークされ、この担当はそれに病んでしまい営業を続ける事が出来ずに、事務に担当変えとなったのです。

これは営業に限らず、事務もそんな感じでした。とにかく初めての事やイレギュラーな事をやりたがらないのです。そんな事をしてもし事務ミスでもしたら、このコンプラ店長に怒られると、皆、萎縮していました。私もこの影響で、その後酷い目に合ったのです。ある日、私の立てた企画である顧客とイベントをする事になり、一旦資金を弊社で立て替える必要があったのです。他店では当然の経理処理を、この店の事務に頼んだ所、やった事がないので出来ませんとの回答がありました。私は前の店でやっているから教えて貰ってと、回答。しかしその事務の上司もやりたがりません。しかしその経理処理が出来ないと資金を持ち出せません。結局その経理処理は時間切れとなり、本来の方法と違ったやり方で資金を出して、無事に好評の下イベントを終わらせたのです。

そしてその年の本部検査がやって来ました。私はすっかりその事を忘れていました。すると検査の人から指摘が来ました。この経理処理は本来の趣旨と違っているので違反である、と。どっちだっていいじゃないかと一瞬思いましたが、すかさず事務の担当の指示で行った話をしました。しかし事務は上司を含め知らないの一点張り。責任の押し付け合いとなりました。その時、検査の担当は正規のやり方を説明しました。それが私が言った前の店のやり方だった訳です。かなり揉めましたが、結果、私の責任となり、私は厳重注意を受けました。本当にやってらんね〜と思って、この会社の退職まで考えた程でした。その後、その事務の上司と担当から謝罪がありましたが、既にどうしようもありません。何であの時、前の店に聞いてくれなかったのか質問しましたが、すぐに、もういい、と言いました。そして、そもそもこんな企画なんかしなきゃ良かった、と思いました。こんな積み重ねが、コンプラ時代の無気力人間が作製されて行く過程なのだと痛烈に思ったのでした。

これも全てあの店長のせい。皆、怒られたく無いのです。全くこの会社はどうなってしまったのか。この頃は諦めの境地と言うか、毎日のように絶望感に苛まれていました。しかし退職後に落ち着いて考えると、この店長もコンプラの嵐の中で、どうしていいか分からなかった被害者だったのかもしれないと、最近は思っています。本当になってらんね〜って感じです。

雄大な景色を見ていると、ちっぽけな事で揉めているのが本当に嫌になりますf:id:x-japanese:20220816204745j:image