前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

274.私の会社員時代、やってらんない記憶.26

コンプライアンスの話題が続きましたが、なぜ私がコンプラがこれほどおかしいと感じるようになったのかは、ちゃんと理由があるのです。我々は、このコンプライアンスの登場により、日々の仕事に四苦八苦するようになりました。「コンプラで飯が食えるか」と怒っていた上司もいました。しかし当初は、私は若い頃イジメに合っていた事もあり、あんな理不尽なパワハラアルハラは撲滅されるべきと、コンプラには肯定的だったのです。セクハラについてもそう思っていました。実際に女性社員が公然と臀部を触られているのを何回も見た事がありましたし、女性蔑視と思われる言葉も平気で使われていました。そんな馬鹿げた世界を変えるには、このコンプラは必要だと思っていたのです。

しかしその後は何か違う方向にコンプラが進んで行き、どうも法令遵守の名の下のアラ探しのような感じになって来て、違和感を感じるようになって来たのです。例えば書類です。会社には様々な契約書類が存在しますが、以前は捨印という物があり、訂正は容易に出来たのですが、ある時から一切認められなくなりました。また本人確認の下、やたらと自筆で書かせる書類が増えて来たのです。さらに確認書だの、個人情報の書類だの、本当に書類が増えたので準備するのも一苦労でした。弊社では訂正が一切認められなくなったので、一文字でも間違えると全て書き直しです。また一つでも書類が足りないと対応してくれません。これでは幾ら時間があっても足りませんし、我々も顧客も相当なストレスを感じるようになったのです。訂正のリスクってどの程度なのでしょう?。そしてそれが原因で起こる事件や事故の確率ってどの程度なのでしょう?。私はこの膨大に増加した事務量に対する事件事故のリスクを減らす効果を比較した場合、どれ程の効果がある物なのか検証が必要といつも思っていました。

世の中も世知辛くなり、確かに弊社でも、訂正や代筆により事故や事件もあった事は確かでした。しかし悪さをする人間がいる限り、全く撲滅させる事は出来ないのです。それをコンプラの下で何が何でもゼロにしようと頑張るものですから、現場としては大変な手間となります。こんな事は弊社だけだったのかも知れませんが、ちょうど今、国が、コロナの件で感染者をゼロにしようと躍起になり、医療現場が混乱している図式に似ていると思います。これを見て、既に3年も経っていていつまでこんな事やっているのか、と思いますし、どこも変わらないな〜っと思っているのです。おそらく、誰も変えられないのです。変える事でその後の事を考えると、コンプラ違反のような事態になるのを恐れているとしか思えません。これは、コンプラの弊害だと思っています。しかし、それよりも遥か前に、私のコンプラ疑念の発端があったのです。その衝撃的だった事を書こうと思います。

ある日、ある顧客に同行する事案がありました。役所から土地を買う事になり、弊社の土地の担保を、この土地に付け替えて欲しいと言った依頼でした。当日、顧客と共に国の機関に行きました。そこには既に先方の担当者と司法書士さんが待機していました。我々も担保変更の書類を携えて、顧客の横に控えていました。時間になり一連の売買契約が為されました。先方が売買代金の現金も確認して、最終の書類のやり取りが行われた時です。私が何気なくその書類を見たのですが、何と顧客の名前の漢字が違っていたのです。既に巷ではコンプラにはとても厳しく、弊社でもこれは書類の作り直しになるし、この書類も当然作り直しになるだろうと思ったのです。そして、「ここ、字が違いますよ」と先方の担当者に言ったのです。するとそこで信じられない事が起きたのです。

何とその担当者は、「本当だ、直ぐ直しますから」と言って、砂消しゴムでその字を消して、その上から本来の字を書いたのでした。司法書士もそれに特に何かを言う訳では無く、そのまま書類は司法書士と共に登記所へ持って行かれたのです。私は「あれでいいんですか?」と重ねて聞きましたが、先方は特に気にする感じも無く、そのまま契約は終了したのです。これには私は憤りを感じました。大体、砂消しゴムがある事自体おかしいのです(砂消しゴムなんて、知らない人もいるのではないでしょうか?😫)。これは、おそらく日常的に行われているのが容易に想像出来ました。また登記所だってそんな訂正は一目で分かるはずです。我々を指導する国の機関がこんな事をやっているなんて、とても信じられなかったのです。我々がやっているコンプラって何なのでしょう?。私はこれがキッカケで、この国のコンプライアンスは、何かが違っていると思うようになったのでした。

また時間に関しても違和感を覚えていました。働き方改革と言って早く帰らせるのは結構な事です。しかし、この頃はコンプラや個人情報保護の影響で事務量が格段に増えた時期とダブっていました。余りにも早い退社時間は仕事を遅らせますし、それは営業を初め事務に至るまで、どんどんとストレスになっていたのです。これでは家に帰ってもゆっくりなど出来ません。ある程度は現場の裁量も必要と思っていました。しかし、これもコンプラの対象となり、早く帰らせないとコンプラ違反と言った具合になって来たのです。何が何でも早く帰らせる事が優先となり、現場は本当に疲弊して辟易していたのです。しかし、テレビ等見ていると、国の機関が夜、煌々と灯りをつけて仕事をしているのがよく見られます。我々を監視する公的機関もブラック機関だと批判されている記事も読んだ事がありました。

こんな事を目の当たりにすると、国や公的機関は良くて民間はダメって事なのでしょうか?。コンプラってこんな物なのでしょうか。最近では国の機関が書類の改ざんで問題になっていますが、こんな事はコンプラ以前の問題です。そしてそれについて何のお咎めもありません。本来このコンプライアンスは公平公正が大前提、人を事故や事件、ストレスから守るために導入された物のはずです。それが国と民間で対応の仕方が違う事自体があり得ないのです。そして人を追い込むような、人を壊すような物のはずが無いのです。改めてこの国のコンプライアンスは、違う方向に進んでいると思います。

もっとおおらかに出来ないものかと、いつも考えていました。f:id:x-japanese:20220907102422j:image