前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

395.私の会社員時代、やってらんない記憶.77

このような活動を続けて行くと、顧客を守る為に必死で意見を言ったり、さまざまな対応をしたりしますが、それでもダメな時も多々ありました。自分は勉強しているつもりでも、やはり上には上がいる物です。経験を積んでいるリーダーや上司はたくさんいましたし、専門的な本部の連中には情熱だけでは中々敵いませんでした。しかしそれはあくまで机上の論争なのです。顧客はそんな空間で商売している訳ではないのです。この言葉にならない、数字に現れない物をどうやって伝えたらいいのか。今度はこれを考えるようになりました。

それには、まずはこの机上の論争にも対抗しなければなりません。私の座右の銘には他にも、「同じ土俵で勝負するな」という言葉があります。相手が有利なフィールドで戦えばこちらは不利になるのは当たり前の事です。何とかしてこちらが有利なフィールドに持ち込んで戦えば、立場が逆転し勝つ可能性が高くなる物です。顧客の案件の場合、稟議案件となると事務担当や本部担当は数字で質問、対抗して来ます。私は今まではその土俵には乗らず、顧客の信用度、歴史、人柄とか、数字には現れない項目で対抗していました。今で言う「定量的」対「定性的」の戦いを挑んでいたのです。敢えて先方の土俵に乗らず、自分の土俵に引きずり込む手法を取っていたのです。しかし、自分も営業の経験を積み、また世の中がバブル崩壊後も景気が良くならず、それどころか益々悪くなって来ている中、それも中々厳しくなって来ました。また、中堅営業にもなって定量的な質問にあまり答えないと言うのもどうか、とも思って来ました。そこで第五の覚醒が起こるのです。知識の習得です。

やはり応戦するには、敢えて先方の質問をある程度知っておく必要があります。そうすれば、相手の質問に答えつつこちらが反撃する、効果的な交渉が出来るはずなのです。これは当時、「理論武装」と呼ばれていました。自分も勉強をして知識を得てある程度の理論武装をして、定量的な判断が出来るようになろうと思ったのです。ちょうど会社でも、資格の取得を推奨し始めた時でもあったので、敢えてこれに挑戦する事にしたのでした。資格と言っても税理士とか公認会計士のような本格的な物では無く、業界が推薦していた研修会社の物で、それ程難しい物ではありませんでした。また当初から会社はその資格制度の取得に報奨金をくれていたので、私は、財務、税務、マーケティング、法務、簿記等の資格に挑戦。当時は会社内では試験を受けるような奴は殆どおらず、また試験会場に行っても、まず知ってる人には合いませんでした。会社内では、いまさら勉強するなんて変わった奴、と思われていましたが、別に気にする事も無く、淡々と受けていたのでした。

しかしこれがかなりの力になったのです。この程度で理論武装となるのかと思った位だったのです。この会社の連中も大した事無いと思い、少し天狗になってしまった時期でもありました。そして、この時に、自分がとても興味ある分野がある事に気が付き、その資格もある事に気が付きました。この資格はかなり難しそうだったのですが、その後一念発起してその資格の取得に挑戦。結構時間を費やしましたが、これを取った事により、より一層の理論武装が出来るようになり、もはや後ろ向きな考えになる事など無くなり、仕事にも一層充実感を感じるようになったのでした。会社内では事務方や本部の出方がある程度推測でき、対応出来るようになって来て、さらに定性的な事はしっかり掴んでいましたので、案件についてはほぼ決裁になるようになりました。また顧客にも色々とアドバイス出来るようにもなり、それがとても喜ばれて、売上アップや新規顧客の獲得にも繋がって行ったのです。

大体この辺りまで来ると、後ろ向きな考えは殆ど無くなっていました。この頃の悩みと言えば、個人情報管理と、よく分からないコンプライアンス位。私の小さい頃の後ろ向きな考え方はこの五つの覚醒により、跡形も無く消え去っていたと言っても過言では無いと思います。しかし、これは会社内での話です。対顧客となると、会社とはまた違った悩みと言うか、やってらんね〜と思うような対応をされたりとか、思ってもみやかった行動をされたりと、気が沈んでしまうような事案も多くありました。何とか顧客の考えている事が分かるような方法が無いものだろうか。それが出来たら顧客対応も効果的に出来、無駄な労力とかも使わずに済むのにと思ったのでした。そして、この頃から少し心理学という物を勉強するようになったのです。

これが最後の覚醒といった所でしょうか。これもそれ程本格的に勉強した訳では無く、本を読むのが中心でした。例えば顧客が腕を組む仕草をした場合は、何か突っ込まれたく無い隠し事がある場合がある、とか、目を合わせない行動は何か疾しい事がある、とか、商品を選ぶ場合は右に置かれた物にいい印象を持つ、とか、交渉する時は真正面で対峙する形では無く横に並ぶようにして説明する、とか。あとは298回目の他社の営業担当が言っていた事等を思い出して検証してみるとか、300回目のコンサルタントがやっていた事を思い出して調べ直したりとか、色んな事を試してみました。

しかしこれには中々正解やゴールが無く、やはり人間というのは難しい、勉強するとしたら本格的に学校でも行かないと無理と思うようになりました。医学の分野でも心理学があるのですから、それ程簡単な訳が無いのです。しかしその後、この勉強は部下の管理にはとても役立ちました。自分がリーダーになった時に大勢の部下を管理するようになる訳ですが、この部下達の気持ちや現状、私生活の様子や体調に至るまで、かなりの予兆と言うか前触れを感じる事ができ、事前に対応する事が多く出来たのでした。またそんな噂を聞いたのか、結構、他の部署や店の人から相談などもされた事も多くありました。カウンセンリングじゃないですが、何かヤバそうな部下には声を掛けて良く飲みに連れて行き、相談に乗ったり愚痴を聞いたりした事もありました。

こんな感じで後ろ向きな私は、段々と前向きな考えになる事が出来、その後も退職まで勤められました。私なんかよりもっともっと頑張っている人はたくさんいるとは思いますが、私は自分なりに頑張って来た事に満足しています。やはり人生前向きで生きて行きたいものです。

どんな時でも前向きに考えていると、良い事が付いて来ると信じていますf:id:x-japanese:20221007175208j:image