前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

360.私のまた行きたい温泉、関東近隣編19

第18回目は熱海温泉です。ここもランニングが出来る温泉は無いかという事で探して辿り着いた温泉です。ここも社員旅行で数度来ており、あまりいい思い出が無い温泉でした。その中の一つでは同僚と先輩が大喧嘩、大騒動となった旅行もあり、いい加減に社員旅行はやめた方がいいのでは、と思うようになった温泉でした。さらにその前の学生時代から、伊豆への通り道として必ずこの地域の道路(国道135号線です。当時は混雑のメッカでした。今もあまり変わらないですね〜😵)を通っていた訳ですが、とにかく混雑するのでなるべく通りたく無い地域でもありました。

その後バブル期を過ぎ、このような大型温泉地の人気は段々と下降傾向となって行き、2000年代に入る頃からはホテルの休廃業も相次ぎ、一時は本当に惨めな位寂れた感じになってしまい、全く行きたいと思わない温泉地という感じになってしまいました。団体から個人へという旅行形態のシフトに、上手く対応出来なかったのが原因と言われていますが、新幹線で東京から45分、それも駅前が温泉街というアクセスは抜群な位置にありながら、なぜ凋落して行くのかが本当に不思議でした。

そんな温泉だったので、私が温泉に目覚めて暫くは見向きもしなかったのです。イメージというのは本当に恐ろしいと思います。熱海は終わったと言っているメディアもありました。それまでのこの温泉のビジネスモデルは昭和のそれで、社員旅行やツアー旅行などの団体旅行を効率的に対応する事を目的としており、大浴場、大宴会場、広い部屋と、とにかく大型化をして発展してきており、個人旅行へと市場がシフトしているのにそれに対応出来ず、衰退するべくして衰退したと言われていて、そう言ったイメージが定着していました。ここと同じような温泉はこの他にも多々ありました。

日本全体もバブル崩壊後、平成となり失われた数十年という言葉が言われるようになり、今までと同じような事をやっていたら衰退の道を辿って行くと言う、いい見本のような存在となっていました。どんな繁栄をしていてもたったひとつの判断や決定の誤りで衰退をして行くものなのだと、厳しい世の中になったものだと思ったものでした。

しかし、その後熱海は見事に生まれ変わりました。そしてそれにはもちろんリーダーがおり、その人がまず思った事が「この街は地元の人に愛されていない」という事だったそうです。まず地元の人から熱海愛を育み、街の再生はそれからと色々な試行錯誤を繰り返して行きます。一朝一夕には進まなかったと思いますが、その歯車が動き出せば色々なポテンシャルがある街です。その財産を利用、再生しながら少しずつ復活、そして今があるのです。復活に導いたリーダーの書いた本もあるので、ぜひ読んでみてはと思います。やはりいい会社もそうですが、いい街というのもそこにいる人達が生き生きとしていて、自分の会社や街が好きな人が多いという共通点があると思います。

私がある日熱海を注目したのは、温泉街の目の前にある海岸、サンビーチのライトアップでした。今まで、史跡や建物などのライトアップは見た事ありましたが、海岸のライトアップってなんだろう?と思いました。そしてネットで調べてみると、それは幻想的な風景でした。夜の海岸は真っ暗で怖いイメージでしたが、その光景は青と緑の綺麗な色で海岸が照らされています。実際に行ってみると本当に綺麗で暫くは見ていたい気分になる事請け合いです。そして夜だけではなく街の散策もとても見易くなっており、面白そうなお店もたくさんありました。それは、とても衰退していた温泉とは思えない程でした。

そしてランニングです。平坦であれば温泉街と伊豆方面にある埠頭辺りの往復で約5㎞程、少しアップダウンを入れて良ければ、湯河原方面に向かい珍しい走り湯という源泉を見に行き、ついでに伊豆山神社へお参りいうコースも可能で8㎞少し。軽く走れて、その後街をぶらぶら、そして夜景も楽しむという、いいランニング旅行が出来ると思います。もちろん温泉街は海の目の前、ご飯はどこも海鮮料理が中心で本当に美味しいです。朝食の干物なんかも最高です。

泉質や効能は言わずと知れた熱海です。特に説明する事は無いと思います。私が行った時は、衰退したと報じられていた熱海からよくここまで復活出来たなと実感出来ました。それ位、熱海の街はひどい時代があったのです。そんな復活のパワーを感じられる熱海温泉、そしてそれを全身に感じながら走れるこの温泉に、またぜひ来たいと思います。

追伸ですが、先般、土砂崩れにより伊豆山地区が大変な事になってしまっています。走り湯近隣も大変な被害に遭われています。一日も早い復興を心からお祈りしております。

丘から見渡す相模湾。熱海はこの写真のすぐ右ですf:id:x-japanese:20211023211434j:image