前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

342.私のまた行きたい温泉、関東近隣編2

温泉というものに興味が無く逆に嫌悪感まで抱いていた私。旅館で、この渋温泉の湯巡りは全部で9箇所あり色々な泉質があって効能が違うと聞きましたが、1箇所の温泉で違う種類の温泉があるという事にとても興味が湧きました。私はまずは一つ目は、やはり一番大きい大湯から行こうと思いました。

半地下のような場所にあり上階は足湯になっていました。足湯の所は中々趣がある建物です。ここは9番目の湯とうたってあり仕上げの湯という意味だそうで、そんな事は全く無知な私は、一番大きい所に行ってみようという流れでやって来ました。真の温泉好きの方からは本当にお叱りを受けそうです。その仕上げの湯である大湯。コンクリート造のように見えますが、入口は風情のある木戸、中は脱衣所も湯船も木造、このような温泉は初めてでした(あったかも知れませんが、笑)。明かり窓が天井にあったような感じで(記憶が25年以上前なので違うかも知れません🙇‍♂️)、お湯に少し緑っぽい色を感じました。今まで色んな温泉に行っているはずなのですが、温泉に色を感じたのは初めての経験でした。まさに湯治場という雰囲気でとてもいい感じのお風呂でした。その時は土曜日の昼過ぎだというのに私しかおらず、ゆっくり入る事が出来ました。

以前お客さんが、昼間に温泉に浸かるのが一番の贅沢と言っていたのをその時思い出しました。まさに誰もいないこの空間、天井からは優しい陽の光が漏れ、湯治場のような所でゆっくりと湯に浸かる。本当に何とも言えないホンワカした気分になり、これが所謂「癒される」と言う事なのかと初めて思いました。その後も出たり入ったりして、随分と長くそこにいて「これが本当の温泉という物か」とも思いました。

時間も限られている為あまりゆっくり出来ませんでしたが、あと一つ行ってみようと思いました。何処だったかは忘れてしまいましたが、直ぐ近くの小さめの共同浴場を見つけて木戸を開けました。するといきなり脱衣所、すぐにお風呂って感じで、これにはビックリしました。初老の人が2人ほど入っていました。お風呂場に行くと直ぐ隣が女風呂なのが分かります。私は特に何も話さなかったのですが、そのうちの1人が隣に向かって「出るよー」と声を掛けると返事があり、そのほのぼのとした光景が映画のワンシーンを見ているみたいでとても心に残りました。

二つのお風呂巡りでタイムアップとなり、仕方無く仕事に戻りましたがこの雰囲気が忘れられなく、この日の宴会が終わると1つだけでもいいからと、外湯巡りに行ってみる事にしました。この夜の温泉街がまたいい雰囲気でした。季節は夏の終わり頃でしたが、高原の夜は本当に涼しく気持ちのいい気候。歩いているだけでも本当に気分が清々しくなる感じでした。宿泊客も適度に歩いていて、皆、浴衣姿で外湯巡りの鍵を持っている人が多かったです。

この時もどこでもいいから、と、どこの湯に入ったのが忘れましたが、何だか凄く熱かった思い出があります。まだあと6箇所の外湯があるのですが、利用時間がタイムアップ。翌日はそんな暇も無く帰る事となってしまいました。この時、初めて「帰りたく無い〜」と思って、絶対にまた来ようと心に決めたのでした。渋温泉は温泉はもちろん、街並み、雰囲気、湯巡りと私の中では一番お勧めする温泉だと思っています。

それからこの渋温泉は何度か行けるチャンスがあったのですが、近くを通り過ぎただけで、宿泊はおろか外湯巡りも楽しめていません。今考えると、私の温泉嫌いは特に温泉自体が嫌いだった訳では無く、あの行く道すがらの酒まみれの行程と、宴会の形態が嫌いだっただけなのだと理解しました。そのお陰で、どんないい温泉も思い出にあまりありません。それなりの有名処の温泉にも行っているので、勿体無くて仕方ありません。

その最たるものに伊香保温泉があります。ここには会社の社員旅行で3度は行っていたのですが、私が温泉好きになってから妻と改めて行ったその時、伊香保の湯が茶色という事を初めて認識出来た位です。結局、今までの温泉旅行は、バスや電車で直行、その行程で既に酒盛りが始まり、目的地に着いても温泉街を楽しむでも無くすぐに宴会、その後二次会、そして下手をすると三次会で外へ繰り出しスナック店で大騒ぎ、翌日は出発ギリギリまで寝ているとうハチャメチャな旅行ばかりでした。

また随行の旅行ではお客様優先であり、自分の事などしている暇はありません。そんな旅行では旅の情緒や温泉街の雰囲気、地元の人との触れ合いなどあったもんじゃありません。ましてや温泉の効能やら泉質などは全く関係ない感じで、本当に無駄な時間を費やしていたと思います。

この渋温泉のお陰で、これまでに行った温泉達に土下座をする位にお詫びをし、今後は温泉に行く場合はよく調べて、泉質、効能、街並み、雰囲気等をじっくりと味わうようにしようと心に誓いました。そしてその後は社会も少しずつ変わっていき、社員旅行もスマートになりハチャメチャ感が少なくなり温泉自体を味わえるようになって来ました。そして最近は子供も育ち、妻と2人で温泉に行く機会も増え、温泉を十分満喫する生活を送れるようになっています。今は本当に温泉に行く事が楽しみであり、とにかく今まで行った温泉に全て行き直したいと思っているのです。

ある日のドライブで。万座温泉で一泊し、渋温泉まであともう少しまで来たのに時間が無く寄れませんでした。横手山山頂付近にて。この景色も雄大です。f:id:x-japanese:20210921113841j:image