前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

140.私の夫婦でゴルフ体験記5

妻の当初の目的の一つである私とのゴルフはこのように順調に進んで行きました。しかし父とのゴルフはまだまだ達成出来そうにはありませんでした。父の具合は少しずつ悪くなっているように感じていました。妻もまだコースに出れる程の実力は無く、逆に今コースにデビューさせてしまうと、悪戦苦闘でゴルフが嫌になってしまう事を危惧していました。妻のコースデビューは本当に慎重に進めていきました。

そんな状況の中、ある日妻は父に、ゴルフを始めた事を話しました。そして、早く治して3人でゴルフに行こうと励ましてくれました。これには父は本当に嬉しそうでした。今頃から始めて大丈夫か?などと少しイヤミを言ったりしてましたが、その顔は本当に嬉しそうで、これが力になって症状が改善してくれればいいと思いました。その後も妻は父に会う度、これ位当たるようになったとか、どうしたら当たるようになるか、などと父と話す事が多くなり、父もその話題が本当に嬉しそうでした。何とか一度位、一緒にゴルフが出来ないものか、私も願うようになりました。父も何とかまたゴルフが出来るよう、精進しているようでした。

スクールとショートコースで半年位経った頃、妻も短めのアイアンは前に飛ぶようになって来ていました。そろそろコースに行ってみるかと妻に言ってみると、ぜひ行きたいとの返事。幸い私は、ゴルフの会をやっていたので、プレーや予約などのゴルフ場の事はよく知っていました。またこの頃はネットで予約が取れる事も分かっており、コースの状況や口コミなどで大体の雰囲気も分かるようになっていました。私はまず妻を薄暮プレーでデビューさせようと思いました。薄暮プレーとは午後の遅めの時間、半分の9ホールだけプレーする変則的なスタイルです。私は何回か利用した事があり、これは正式なゴルフスタイルでは無い為大体空いており、もちろんプレー費も安く初心者や練習の為にプレーしている人が殆どで、時には誰もいない時もあるので、我々には持ってこいだったのです。

そして、妻の好きな伊豆観音温泉を予約出来た時、中日に近所の薄暮プレーをやっているゴルフ場を探し、いよいよ妻のコースデビューの時を迎えました。場所は稲取ゴルフクラブ。電話をしたら予約はしておらず、2時頃来てくれとの事。言われた時間に行くと、既に数組、薄暮プレーの順番待ちをしていました。結構混んでいるんだと思いました。私はどうせガラガラだろうと思っていたので、これは意外でした。初めての時は後ろから追い上げられるのは嫌なものなので、順番を譲り最後のプレーにして貰いました。最後なら悠々と後ろを気にせずプレー出来ると、スタート時間まで待っていました。特に時間が決められている訳では無く、前の組が行ったらスタートする説明でした。

数組がスタートした後、いよいよ我々の順番です。妻は既にドキドキ状態、自分も妻とプレーする事に、こんな日が来るとは思わなかったと感激して、少しドキドキしてしまいました。すると後ろにもう一組来てしまいました。これには自分がさらに緊張してしまいました。案の定、第一打はチョロってしまい、これにはカッコいい所を見せたかったのに恥ずかしくなりました。そして妻には焦らずと言い、記念すべき第一打はまだドライバーは使わず短めのアイアンで打ちました。まずまずな当たりで無事スタートする事が出来ました。妻は初めてなので上手く行かないのは当たり前なのですが、この日の自分が酷い状態でした。ゴルフを2人でやるなんていうのは初めてで、今まではゴルフの会を初めコンペでゴルフをしていましたから、周りは仲間が多かったのです。始めた頃は大変でしたが、その後は気持ちも楽に出来ていたのが、何故か2人きりのゴルフは周りからの視線が気になり、チョロったりダフったり。自分が散々なゴルフとなってしまいましたが、それなりに何とか上がる事が出来ました。

この日は初秋のいい天気。後の組もいい方達で、のんびりやって下さいと言ってくれて、妻にとってはいいデビューとなりました。そしてあっという間の9ホールが終わり、その日は観音温泉でゆったり。今日のスコアやショット、パットの話をしながらの夕食は本当に信じられない位でした。自分は初めての妻とのプレーでちょっと緊張しちゃったなどと、妻とこんな話が出来るなんてと、夢のようでした。そして自分は今日の上手く行かなかったプレーを反省をし、もっと上手くなりたいと思うようになりました。あまりにも上手くないと妻にも申し訳ない気持ちになり、また自分もみっともないと思ってしまいました。自分も妻と同じように練習をして、カッコいい夫を目指したいと思うようになりました。

妻とのゴルフはこのように順調にスタートする事が出来ました。この後も時間があればショートコースに連れて行き、妻も随分とゴルフの雰囲気にも慣れる事が出来ました。そしていよいよ本格的にゴルフ場にデビューする訳ですが、この後私は、思わぬ事で苦労する事になったのです。ゴルフは人の性格がよく出るスポーツだと良く言われます。そして精神的な事がとても影響するスポーツとも言われています。妻がゴルフを始めた事により、この後、図らずも自分の性格があからさまになる事になるのです。そして、トラウマという物も初めて実感する事になりました。そしてそれが妻に余計なプレッシャーを掛けてしまう事になったのです。妻とゴルフをする度に、周りからどう見られてるのだろうとか、格好いいゴルフが出来ているだろうかとかを気にしたり、また若い頃の笑われた恥辱感やら、遅いと罵声を浴びた事等を思い出したりしました。これがトラウマとなって残っており中々無くならず、暫くは2人は苦労するゴルフをするという事になるのでした。

始めたばかりの頃、ショートコースの狭山リバーサイドゴルフコースにて。ここは結構距離が長めですf:id:x-japanese:20211209080517j:image