前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

73.プレッシャーの克服

こんな遅くまで頑張っている医師の前で、緊張だ何だなんて言ってられません。自分も頑張って早く照射が終わるように協力しないと、と思いました。加えて、すでに遅い時間になっており早く帰りたいという気持ちもあり、気持ちが急いてあまり緊張しませんでした。

終わってみると、え?もう終わり?、のような感覚でした。医師達に御礼を告げ、この時は小走りに病室へ戻り、すぐに着替えて看護師さんや同室の方への挨拶も程々に、一目散に病院を出て行きました。今から帰っても10時過ぎ、ギリギリ寝る前のお孫ちゃんに会えるかな? そんな事ばかり考えながらいたので、照射を初めてプレッシャー無しに受けられた事を検証もせずにいました。

結局、精神的なものなのでしょうか。この日は照射の事より、早く終わらせて早く帰りたい事ばかりを考え、そちらに気持ちが集中していたのだと思います。また、この頃になると照射時間も大体分かってきますので、これ位我慢すれば終わるだろうという感覚もわかってきます。身体の調整具合も慣れからくるのか、医師の希望等が何となく分かり、こんな感じ?みたいに早く決まるようになってきました。

今考えても、要するに慣れてきたのでしょう。照射のプレッシャーを克服する方法は、治療当初からあれだけ考えていたのに芸が無いかも知れませんが、結局「慣れ」しかないのかもしれません。あとはちょっとしたキッカケか。この遅くなった照射で、疲れているのに頑張っている医師に改めて感謝を感じたり早く帰ってお孫ちゃんに会いたいなどという気持ちが、緊張に勝ったとも言えると思います。

最初からプレッシャーを感じずに受ける手もありますが、私はそれはリスクがあり過ぎると思います。重粒子線を侮ってはいけません。後遺症は後から出てきます。そしてそれは前立腺の周辺臓器に多大な影響が出るのです。事実、私の退院後の経過観察の診察の時、周辺臓器に影響が出てしまい、今後の治療を相談している患者がいました。この治療は、しっかり重粒子線治療を緊張感持って受けながら、早く慣れるよう頑張って欲しいと思います。

因みにこれは後から聞いた患者の情報ですが、重粒子線を放出する機械は定期的にメンテナンスをするそうで、翌月の8月がその時期だったようです。その時は治療もストップするそうで、その分今月は患者を多く入れているとの事でした。先週の不具合は機械のキャパオーバーなのではないか、などと得意げに話していましたが、どこでそんな情報を仕入れてくるのか、まるでテレビのコメンテーターさながら話す姿に、「こういった人って本当どこにでもいるんだな〜」と、人って面白いなあと思ったのを覚えています。

青森県の、海岸に芝生が広がる種差海岸f:id:x-japanese:20210329121503j:image