前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

72.最後の一時退院

そんな色々な事があった三週目も、今日の照射を残すのみ、と金曜日の朝を迎えました。今週も先週と同じで、頑張ってはいるのですがあの照射時のプレッシャーを克服出来ずにいて、既にグロッキー状態です。しかし後は楽しいお孫ちゃんとのひと時が待っています。早く終わらせて、早くお孫ちゃんの待つ家に帰ろう!と朝からひたすらお呼びがかかるのを待っていました。

しかし、この日は、待てども待てども看護師さんのお呼びがありませんでした。昼食を食べた辺りで、患者の間で情報が飛び交います。「何やら機械の不具合やら患者のトラブルやらで今日は遅そうだ」。どこで仕入れて来るのかそのような噂が流れ、皆んな諦めに似た溜息を吐いていました。

私と同じように照射後に一時退院を予定している人は、「今日にかぎって何で?」という感情ですが、この不満をどこにぶつける事もできず、ただ悶々とするしかありませんでした。

時は過ぎ、夕食が終わり、それでも一向に呼ばれる気配がありません。さすがに看護師さんが、機械の不具合があったらしいと説明をしに来ましたが、それでもただ待つしかありません。こんな時間になって、今日、本当に照射できるのか不安になってきました。

できなかったらどうするんだろう、まさか明日?。患者同士でもその話題をするようになり、ざわざわしてきました。そんな中、やっと看護師さんが患者を呼びに来ているのがわかりました。そして、同室の患者さんにも声がかかりました。

時間はもう7時を過ぎています。こりゃ病院を出るのは8時過ぎるなと思っていると、やっと自分の名前が呼ばれました。この時は、早く帰りたい一心で小走りで新治療研究棟に行きました。すると疲れた様子の医師達がおり、こんな遅くまで大変だなと思いました。思わず「大変ですね」、と声をかけました。医師達は笑顔で返事をしてくれましたが、相当疲れた様子なのが分かり、本当に頭が下がる思いでした。

大改修後間もない日光東照宮f:id:x-japanese:20210329094038j:image