前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

71.イベント

ちょうど弟がお見舞いに来た時、一階受付のロビーで待ち合わせたのですが、そこに行くと何やら人がたくさんいて準備をしています。今まで全く気が付かなかったのですが、その日は先生や研究員、職員の方達による音楽会が開催される日でした。

ソファーを並べ替え、即席の会場が出来上がり、結構観客も集まってきました。そこへ弟が現れ、一瞬何事かとびっくりしていました。私も病院でコンサートが開かれるなんて思ってもみなかったので、とても興味深かったのを覚えています。音楽は大好きで、本当に心が癒されます。

このコンサートは我々患者の為、少しでも元気に、少しでも治療の苦痛から解放されるようにと開催されているとの説明があり、私も精神的にキツかった頃でしたので、医師や職員さんの一生懸命に演奏する姿には感動すら覚えました。一瞬病院にいる事も忘れ、楽しいひと時を過ごす事ができました。

最先端の技術だけではなく、このように患者に寄り添い精神的なフォローも考えてくれる、この病院は本当にいい病院だなと、つくづく思いました。私は昔、盲腸や肺炎で入院した経験があるので、その時とは雲泥の差のこの環境。一時退院もあり、何よりあの緊張感さえ克服してしまえば痛さや不快感も無い治療なので、本当に患者である事を忘れてしまうような入院生活に驚きと感謝を感じました。

しかし、中にはこの環境にあぐらをかき、アルコールを隠れて飲んだしまったり、看護師さんにわがままや文句を言っているような患者もいました。人間というもの、環境が良くなれば更に良い環境を欲しがり、さらにわがままになっていく欲望の深い動物なんだと感じる事も多かったです。 

初夏の軽井沢の白糸の滝f:id:x-japanese:20220131075842j:image