前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

44.入院初日、夜

入院の説明はそれ程大変でもなく、以前診察で聞いた事の復習と排尿表をしっかり確認出来れば、後は特に気にする必要は無い感じでした。一通りの説明が終わると看護師さんは戻ってしまい、妻と二人きりになりました。荷物の片付け等が終わり同室の患者さん達に挨拶を済ませた後は、特に話す事も無く暫くは何をする訳でもなく病室にいました。

その後、夕食の時間が近づいてきたので、二人して食堂に移りました。4階なので景色も良く、暫く外を見ていました。その後食事の時間となったので、患者が続々と食堂にやって来ました。初回はまだ慣れないので、妻と2人で端の方で食事をしました。妻はお菓子をつまみながら、付き合ってくれました。夏至を過ぎたばかりでしたので外は明るいのですが、妻の家路を考えるとゆっくりさせてはいけません。そそくさと食べて、妻とはしばしのお別れです。何だか急に寂しくなり、病院の玄関で妻が見えなくなるまで後ろ姿を見ていました。

それからが長かった。患者さん達と話す気力も無いし、すぐに病室に戻って寝転がっていました。ただ天井を見つめ、今までの事が急に思い出されて来ました。家族の事、会社の事、これからの事、治療の事、色んな事がごちゃ混ぜになり、少し精神的に不安定になってしまいました。何でこんな事になってしまったのだろう、何が悪かったのだろう?。治療は実際にはどんな物なんだろうか?、本当に痛さとか無いのだろうか?、治療が上手く行かなかったら死んでしまうのだろうか?、放射線は周りの臓器に当たってしまわないだろうか?。悪い事ばかりが頭に浮かんできました。

入院初日の夜はいつまでも寝付けず、時に病院中をウロウロしていました。4階には夜勤の看護師さんはおらず、本当に静かなフロアです。私は、入院は盲腸や肺炎で経験があるのですが、夜は結構騒々しいイメージがありました。病院はお年寄りの方も多いですし、病状が良くない患者もいます。時折そんな患者のうめき声がしたり看護師さんが小走りする音がしたりで中々寝付けなかった思い出があるのです。しかしこの病院は静かで、返ってそれが目を覚ましてしまうようで、初日の夜はいつまでも寝付けず、明日の治療に影響が出なきゃいいなあ、などと考えながら過ごしたのを覚えています。

群馬県庁の最上階はレストランもある展望フロア、一見の価値ありf:id:x-japanese:20210323130449j:image