この会社では、社内報と言う季刊誌があり、その冬の号から、「今年の資格取得者」という新しいコーナーが出来ていました。すると報奨金の効果なのか、他の店にも宅建を取った社員がいたのです。そして私が数年前に苦労して取った資格も、全店で数人が取っていました。さすがに税理士とか弁護士とかはいませんでしたが、会社の目論見通り、資格取得者が増えていたのはいい事だと思いました😊。そしてそのコーナーでは資格を取った社員の写真が載せられていて、私の後輩も、店長と一緒に写っている笑顔の写真がありました。
私はこれを見て改めて気合が入りました💪。そして年始の抱負にはこの宅建資格取得を掲げ、頑張る事にしたのでした。まずは情報収集を始めます。受かった後輩や、他の店の後輩にどうやって受かったのかを聞きました。すると、本屋に宅建の本がたくさん並んでいるから適当な物を買い、後はそれをひたすら解いていたと言います。所謂、独学です。特に講習とかには行っていなかったらしく、私はそんなもんでこの資格が取れるのかと、この時に少し舐めてしまった部分がありました😅。
そしてその後、本屋に行ってみました。すると資格コーナーがあり、宅建の本が結構な種類ありました。まずはどんな試験なのかを入門編の本を立ち読みしました(立ち読みですみません🙇)。試験時間は2時間、問題は50問。合格率は大体15%〜20%程度、合格点は32点から33点程度。これだけ見ると何だか簡単そうに感じました。その中からポケット宅建のような参考書を買い(正式な名前は忘れてしまいました)、改めて家でそれを見てみたのです。
まずは試験内容を見ました。構成は、宅建業法、法令上の制限、権利関係、その他、税金等でした。宅建業法が約20問、権利関係で約14問、法令上の制限で約8問、税、その他で8問という構成です。勉強の仕方は、ひたすら過去問と書いてありました。過去問を何問解いたかで合格率が変わってくると、その本には書いてあったのでした。そして問題は50問と言っても四択でした。その中から正解を探す訳ですから、実質200問を読まなければならない計算になります。これには少し引きました。実質2分24秒で一問を片付けなければなりません。この中に四択あるのですから、実質36秒で四択の問題を一つずつ読まなければなりません。これにはかなり引いて行く自分が分かりました😱。
それまでは、今まで多少の勉強をしていたので、特に税制や金融、財務、簡単な法律、あとは一般常識程度の事には、少し自信はあったのでした。しかし早速その試験問題を見てみると、いきなり分かりません。そして最初に見たのが権利関係ですから、とにかく問題文章が長い。これを読むのに一苦労です。また思ったより難解な法律用語が多い。もう最初から分からなかったので、税制その他の辺りを見てみましたが、これも細かい質問が多く、ハッキリと回答出来ませんでした😮💨。
これには更に引いていく自分が分かりました。この時の正直な感想は、「こんな長い問題文章、読むだけでも疲れちゃうなあ」でした。またこの頃はネットはまだ一般的では無く、その他の色々な情報を集めたくても、合格者に聞くか、本を買うか、または専門の学校の講習を受けるか、そこの夜学に通うかしか方法が無かったのでした。その後も、この試験の情報と言えば、ひたすら過去問を解くの一択のみ。これでは効率的な勉強など望めません。
その後も色々と勉強のやり方を調べましたが、結局行きつく所は、過去問をひたすらやるのみ。と、言う事は、この資格はひたすら丸暗記という事になるのです。この形態は私の一番苦手な分野の暗記ものとなります😢。これは想定外な試験でした。こうなると急にやる気が萎えて来ます。そしてやらない理由を探し始める、自分の悪い癖が出て来ます。「単なる丸暗記なんて、何の意味があるんだ?」とか、最近この資格を取った後輩が、すぐに内容を忘れてしまったと言っていたのを思い出し、「そんな資格じゃあ、意味無いだろう!」とか。その後は、仕事の忙しさにかまけて、中々勉強を始めませんでした。
しかしせっかく買った参考書を、そのままにしておくのも勿体無い。結局、本を買って4ヶ月程度経って、やっと参考書を開くようになりました。試験まで5ヶ月程度あれば大丈夫だろうと、勝手に思っていたのでした。参考書の順番は大体、権利関係や民法が始めに出て来ます。簡単に内容がまとめられていて、その後は過去問が並んでいます。これはしっかり勉強すればする程、本当に弁護士の世界の問題のようでした。そんな民法のような判断は分からないと、直ぐに投げてしまいそうになります。
しかし参考書の量を、試験までの勉強出来る時間で割ってみると、一日当たり、それ程の量では無いのです。まあ少しずつ頑張れば何とかなるだろうと思っていましたが、大体そんな予定通りに進む訳が無いのです😅。試験勉強をやっているのは会社ではかなり少数派で、殆どの人は関係無いのです。なので、問答無用に色々な用件を入れて来ます。飲み会等にもある程度参加しないといけません。それは会社だけでは無く、家族間だってそうでした。休日になれば、子供達と遊ばないとなりません。その他の日だって、勉強とかみてやったり、たまには妻の買い物等にも付き合わなければなりません😵。
そんなこんなで、どんどんと予定はずれて行きました。それでも毎日の通勤時の行き帰りとか、家でも空き時間があれば、少しずつ読んで過去問をやって行く生活を続けて行きました。そして、どこか「何とかなるだろう」と思っていたのです。それは例の後輩が受かったのだから、自分は大丈夫だろうという、根拠の無い理由があったのでした。