前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

60.パニック

動かないようにしているのに、動いているように感じる。本当に動いているのか、それとも止まってられているのか。止まってないとしたら、どこかの臓器にあたってしまっているのでは、当たったしまったらどうなってしまうのか、と、頭の中がグチャグチャになってしまいました。これがパニックという物なのでしょうか、前回に引き続き感じる初めての体験です。

思わず「もういい〜、やめてくれ〜」と叫びたくなった時、「終了です」の声。緊張した身体は照射中ずっと強張っていたのでしょう、終わったとたんにぐったり。手には冷や汗がびっしょり。暫く横になっていたいけど、次の患者が控えているのですぐにどかないといけません。固定具を外している先生に介助してもらい照射台から下り、礼を告げゆっくりと照射室を出て、また受付の椅子に暫く座ってました。

これはキツイ、今回も身体へのダメージは全く感じなかったのですが、この絶対静止のプレッシャーは想像以上にキツく本当に参りました。しかし、これが重粒子治療なのですから、これに耐えないといけないのです。

考えてみれば贅沢な話です。痛くも痒くも不快感も無い、ただじっと照射台で寝てればいい治療です。こんな夢のような治療なのに自分は耐えられないとかいって弱音を吐いている。初回に引き続き、自己嫌悪に陥って一気に元気が無くなりました。あと10回の治療に自信が無くなってきました。

いつまで経っても落ち着いて来ないので、仕方なくトボトボと通路を歩いて病室に向かいました。同室の人が、お疲れ様と声を掛けてくれましたが、ありがとうございますと言うのがやっと。直ぐに食事の時間でしたが、暫くベッドで横になっていました。

ステンドグラスの神社、金沢の尾山神社f:id:x-japanese:20210327101553j:image