前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

14.診断、次の段階へ

癌と診断された自分は、頭が真っ白に近い状態になり、先生の話を聞けたのはかなり時間が経っていたと思われます。その間先生は、診断された癌の状態をさらに詳しく調べる為に、「患部に針を刺して細胞を検査する」という事を説明していました。所謂「針生検」です。先生は淡々と次の段階の話を進めますが、私はとてもそれを聞いていられる心境ではありません。ちょっと待ってくれっていう感じであり、何で患者の気持ちを考えてくれないんだと憤りを感じました。しかし、最近の前立腺癌治療は、以前と比べて本当に治療が進歩しており、女性の乳癌と並ぶ、治る癌として認識されています。なので先生のこの対応は今考えても間違ってないのです。でも我々の年代は癌と聞くと、イコール死、というイメージがまだまだあります。正気に戻った自分は、その針生検の話を再度聞き返しました。内容は、癌の診断は間違い無く、その進行具合の検査との事でした。この病院は基本2泊3日、全身麻酔で検査をするとの事。この検査、後で分かった事ですが、検査の方法は色々あって、局部麻酔とかの方法もあり日帰り検査も可能、または1泊2日の検査もあり、様々なやり方があるようです。ただ、検査自体は下半身が絡む検査なので、かなり恥ずかしい姿になるとの事。自分はそんな事は知る由もなく、気が動転していて先生の勧めるように、2泊3日の全身麻酔の検査を受ける事になりました。回答については妻と話し合って後でする事にするのが精一杯で、病院を後にする事になりました。この診断は、当たり前ですが今までの人生の中で一番ショッキングな出来事でした。帰ったら妻に何て言おう、家族はどんなショックを受けるんだろうと思うと、どうしていいか分かりませんでした。会計を済ませ駐車場まで戻って暫くは車の中で呆然としていました。もう初期の癌が見つかってしまったのでどうする事もないのですが、何で?どうして?、という思いだけが頭の中をぐるぐる回っていました。

千葉県幕張のホテルからの夜景f:id:x-japanese:20210316205159j:image