前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

15.検査入院

家に帰って妻に診察結果を報告。妻は最初はビックリした顔をしていましたが、この1年間モヤモヤした結果が続いていたので「やっぱり」という感じでした。2人で色々話し合いましたが、悩んでいても仕方が無い、初期の癌なら早く治療をすれば元の生活に戻れるのも早いはず。私達は検査入院をする事に決めました。なるべく会社を休みたくないため、10月半ばの日曜日に入院、月曜日検査、火曜日退院というスケジュールで予約を取り、会社にも有給休暇を提出、了解を得て検査入院の日を待ちました。実はこの辺りの事は一生懸命思い出そうとしているのですが、断片的にしか思い出せません。気が動転している私に代わり、妻が病院とのやり取りとかをしてくれていた事もあったようです。癌の宣告を受けた事のショックで、私は暫く呆然として日々過ごしていたようです。人間はショッキングな出来事があると、その時の記憶を消そうとするなんて聞いた事がありましたが、まさにそんな感じです。そして検査入院の日が来ました。この日は妻に病院まで付き添ってもらいました。穏やかな日曜日の午後、初秋のこんな日は、普段ならランニングかハイキングでも行くような暖かい日でした。しかし病院に着くと日曜日なので受付には誰もおらず患者ももちろんおらず、ガランと静まった、電気もあまり付いてない院内はとても殺伐としていて、何か急に自分が重病なのだという事を思い知らされる感じでした。受付を済ませ病室へ案内され、着替えを済ませると、妻も急に不安そうな顔になりました。いたたまれなくなって病室を出て待合室に行き2人でお茶を飲みました。そこでは夕陽に映える綺麗な富士山が見えました。妻は綺麗だね、などと私の気を紛らわそう気を使ってくれているようでしたが、私は何か全く別世界の景色に思えたのを覚えています。

病院から見えた富士山f:id:x-japanese:20200514152916j:image