前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

488.私の愛車遍歴の思い出、3

次の思い出のトラックは三菱のデリカトラックです。デリカと言うと当時流行し出したのワンボックスカーの先駆けの車のように思えますが、私はデリカと言うとトラックのイメージがあるのです。確かにこの1980年頃のデリカは「スターワゴン」というグレードが登場し、今では当たり前の回転対座シートなどを導入し、今まで無かった画期的なワンボックスカーとして人気がありました。三菱のマークもまだMの字を模った可愛いマークでした。そんな中でも私は、遊びに行く時にダットサンが出払っていると、仕方なくこのデリカトラックでドライブに行ったのでした。f:id:x-japanese:20230615073019j:image

このデリカトラックもダットサン同様に、運転席のすぐ後ろは荷台で、コラムシフトの3人乗り。やはり荷台に荷物が無いと軽いので、悪路では上下左右動は激しかったのでした。さらにこのデリカはボンネットが無く、運転台の下にエンジンを持って来て、荷台の広さを大きくしています。そして前輪が運転席のすぐ下。道路の凸凹の振動をお尻で感じるようで、乗り心地という意味ではダットサンよりは数段劣る感じでした。

しかしこの車、ボンネットが無いので前方の見通しは半端なく良い。特に都心の狭い道や交差点では、その性能を遺憾無く発揮。見通しが悪くても少し身体を前に乗り出せば、そこは左右180度視界が開け車や人がいるのかは一目瞭然。まず事故になるようなシチュエーションにはなりません。ダットサンでは危険な交差点では一旦停止して、恐る恐る左右を見ながら進み、車が来ない事を確認してやっと発進する感じでしたが、これは初心者の私にはとても運転し易かったのでした。

しかし一つだけ注意する事がありました。それは前輪がお尻の下にあるので、いつものようにハンドルを切ると思った以上に早く曲がり、トラックの側面を擦りそうになるのです。これは内輪差と言い、ボンネットタイプは運転席の前方にタイヤがある為、タイヤの位置の違いでこういった感覚が起きるのです。このデリカはその前輪がある場所に運転席がある感じなので、普通にバンドルを切ると自分の感覚より随分前に曲がり始めてしまうのです。なのでこのデリカを運転する時は、曲がる時にはひとテンポ置いてハンドルを切るようにしていました。この感覚が中々掴みづらく、暫くは右左折や駐車に苦労した覚えがありました。

そして何と言ってもこのデリカの思い出と言うと、生涯一度きりの交通事故です。それも結構大きな事故でした。この時は、ひょんな事から今の妻と再び出会って、少し付き合いを再開した頃で、彼女が何かで遅くなったので家まで送ってあげると言って、夜にこのデリカで駅まで迎えに行ったのです(こんな事をしながら彼女との距離を縮めていったのです😅)。彼女は当時からなぜかダットサンが結構お気に入り。彼女の母親の実家も商売をやっており、こういったトラックは懐かしいとの事で、結構喜んでくれたのです。しかしこの日は全車出払っており、仕方なくデリカで出掛けたのです。既に夜の10時になっていたでしょうか。そして無事に家まで送り届けて、私はその後、友人の家にちょっと寄って行こうと思ったのです。そして事故に遭ったのです。

彼女の家を走り出すと、道は少し上り坂になっていてその上に十字路があります。そこは私の方が優先で、横切る道には「とまれ」の標識があります。彼女をよく送っていたので、その交差点はよく知っていました。なのでその坂はいつも加速させていました。この時もデリカを加速。坂を登りきり一路友人の家へ、と思った瞬間です。その十字路の右からライトが見えました。「何か来る」と思ってハンドルに思わずしがみついたその時、大きな衝撃と共にトラック共々左側に飛ばされました。右側からタクシーが突っ込んで来たのです。

大きな音がしました。近所から住人が出て来ました。私はハンドルにしっかり捕まっていたからでしょう、無傷でした。そしてトラックから降りてタクシーの運転手に掴み掛かりました。この頃は私も血気盛んな若者でしたので、大声で駆け寄って行きました。先方は初老の運転手でした。交差点の角の家の木が「とまれ」の標識を隠したようになっていて見えなかったとの事でした。近所の人が連絡したのか、すぐに警察がやって来て現場検証が始まりました。そして私は近所の人に電話を借りて家に連絡。親からはこっぴどく叱られました。デリカは運転席下の部分から真ん中に掛けて大きく凹み、修理は不可能っぽく見えました。

その後は会社の保険会社からすぐに連絡があり、事故も警察で処理がなされたのですが、私は保険会社の指示でそのまま病院へ。一晩検査の為、入院しました。そしてその後、警察からの事情聴取の続きを受けました。細かい事は忘れてしまいたが、一つ覚えているのはその警察官から、「もし普通の車に乗っていたらあなたは死んでいたかもしれない」と言われた事でした。現場検証の人が言っていたそうなのです。要するに、ボンネットタイプの車だったらモロに運転席に衝突されていたようなのです。確かにデリカは運転席の下の部分から後ろが大破していました。ダットサンだったらまさにその部分に運転席があり、私が座っていた事になります。私はこれを聞いてゾッとしたのを今でもハッキリと覚えています。なぜあの時、いつもあるダットサンが無かったのか、それを考えると何か不思議なモノに守られている気持ちになったのでした。

長くなってしまったので続編で書こうと思います。