前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

309.私の会社員時代、やってらんない記憶.48

次は、私がリーダーだった時に、優良企業だったのに従業員の質が悪く、私が本部の指示に従わずに受注を抑えていた事案です。この会社は当初は、本部からもっと売込めとの指示があった位、いい会社でした。当時は本部にも営業推進部のような物が出来て、そこで情報を収集してある程度の審査をして、本部から店に、この顧客を推進しろという指示を出す試行をしていた時だったのです。そしてこの会社にも本部から、もっと売上を上げろという指示が来ていたのです。

この会社は業歴は浅いのですが、短期間で売上をどんどん伸ばしており、前年に弊社の近くに本社が移転して来たのでした。弊社ともその時から取引が始まり、少額ながら付き合い程度の受注を貰っていました。しかし、我々の競合他社もこぞって取引の拡大を図っていた会社だったので、中々深耕が図れない会社だったのです。この会社は当時から多角化経営をしており、本業の他にも不動産部門と建設部門を持っており、三本柱で商売をして行くという、当時としては画期的な会社でもあったのです。

本社は立派な建物で、会社の勢いを感じさせる物でした。訪問すると同業者と鉢合わせする事はザラにありました。そしてこの会社の取引を伸ばせと本部から指示があったので、私も足繁く取引の拡充依頼をしに通っていたのでした。本社屋にはグループ会社も入っており、一階には受付嬢がおり丁寧な対応をしてくれます。また商談室が多数あり、その商談の熱気も伝わってくる位活気がありました。そして我々の対応をするバイヤーの担当者もとても紳士的な方で、丁寧に対応をしてくれました。印象としては全く問題の無い優良企業という感じでした。

しかしある日、私は弊社のある顧客からこの会社の不動産部門の話を聞いたのです。この顧客はこの会社の不動産部門から土地の情報を得て、その物件を購入しようとしていました。私は当時は土地に対しては多少知識があり、何気なくその土地の情報を見せて貰いました。するとそこは再建築不可物件と小さく書いてあったのです。その話を顧客にすると、顧客は既に金融機関からの借入もOKになっているとの返事。それは変だと思いました。当時は既に金融機関はバブルの後遺症もあり、不動産に関する調査はかなりしっかり行っていた時代でした。こんな物件は絶対に担保にならないはずなのです。そして、その金融機関の名前を聞くと、この辺りの銀行では無く、聞いた事も無いよく知らない名前でしたので、おそらくノンバンクのような銀行だと思いました。

私は再度、メインで取引している金融機関に話をしてみて、ローンが下りるか確認した方がいいとアドバイスしました。再建築が不可という事は、道路に面していないか、何か不具合がある物件のはずなのです。そして後日、この顧客から電話があり、先般の土地の購入は止めたのと連絡を貰いました。やはり取引の金融機関からストップが掛かったそうでした。私はとにかく良かったと思い、この話は終わりだと思いました。

しかしその後、この不動産部門の担当者から、私に苦情の電話があったのです。内容は、土地の売買の邪魔をしたとの事でした。さらに弊社が本体の会社と取引がある事を知っており、弊社との取引を止めるよう提言しておくとの電話でした。かなり怒っている口調で、私は呆気に取られその話を聞いていました。そして相手が言い終わった後に、満を辞して私は話し始めました。「あなたはこの土地がどんな土地か知っているか?」「あなたの会社は瑕疵物件を顧客に販売するのか?」。するとその担当は「とにかく商売の邪魔をするな」と言い切ったのです。その言葉に私は呆れ、この事を本体の会社の人に報告する事を言い、それ以上話をする事は無いと電話を切りました。

そして後日、取引依頼をしに行ったついでに、御社の不動産部門の担当がこんな営業をしていたので注意した方がいいと、情報提供という形で伝えました。その時はバイヤーの方から御礼を貰ったのですが、私はその時の態度が気になり、その後、この会社の本体の営業の評判を集める事にしたのです。すると本体の営業担当も、不動産部門の担当と変わらないスタイルで営業している事例が少なからずある事が分かりました。要するにこの会社は営業担当を歩合性にしていて、更に無理な目標を掲げて売上を上げ業績を伸ばしていたのが想像出来たのです。また急激な成長に新規入社の社員の教育が追いつかず、本社の社員は素晴らしいのですが、その下が付いて行っていないという、企業文化の統制が取れていない会社になっていたのでした。顧客など二の次、業績ありきの社員が増えて来れば、いずれ行き詰まるのは目に見えています。私はそれからは、本部の指示には「やってらんね〜」と従わず、のらりくらり交わして1年が経過したのです。

そしてその後、私は転勤。後任のリーダーに後を引き継ぎました。そして翌年、その会社の倒産を知りました。意外に早く破綻したなと思いましたが、私は、弊社はそれ程の被害は無いだろうと思いました。しかし、後任のリーダーは本部の言う通りにどんどんと受注を増やしていたのでした。そのお陰でかなりの金額の未回収が発生したとの事でした。私の予想より遥かに早く、この会社は行き詰まってしまったのでした。

ちょうどその時、「踊る大捜査線」という映画がヒットしており、「事件は会議室で起きてるんじゃない!。現場で起きてるんだ!」というフレーズが流行した時期と重なっていました。まさに本部で決算書だけ見て判断して、現場に指示をするなんてあり得ないのです。また店や担当者も本部の言いなりでは無く、現場を見て判断して行動を起こすべきなのです。営業にはやはり経験と勘が必要だと改めて思った事案でした。

営業バカになってはいけません。適当な休息や気分転換も必要です☝️f:id:x-japanese:20221219092751j:image