前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

285.私の会社員時代、やってらんない記憶.35

次は、一見よく見えるけど実は見掛け倒し、と言う部下の話を書こうと思います。私は営業のリーダーをしていた時は、部下については色眼鏡で見ないように、とても注意する事を心掛けていました。なので新人や転勤して来る部下に対しては、色々と情報は聞きますが、それを鵜呑みにせず自分の目で確かめて、色々と仕事をさせていました。

その中に、ある日鳴り物入りで転勤して来た営業担当がいたのです。以前の店では優秀賞を数度受賞しているとの事でしたし、資格もしっかり取っている勉強家だと聞いていました。中堅な年頃だし、いずれ営業のリーダーを任せられる社員なんだろうと、期待もしていました。そしてそんな社員なので、少し担当する顧客を多く持ってもらう事にしたのです。またグループ長にもなってもらい若い子達の面倒も見てもらおうと思っていたのです。まあ腕の見せ所といった感じでしょうか。またこの地域には結構我儘な顧客が多く、その手捌きにも興味があったのです。

しかし結論として結果は残念な物でした。毎日その地区で顧客対応でヒーヒーして帰って来て、部下の面倒も全くと言っていい程見ていません。それを見てとても残念だったのを覚えています。ある日面接があり、その仕事振りについて意見交換をしました。彼の言う事は、とにかく顧客軒数が多い、細かく集金を望む顧客が多い、面倒な客が多い、これでは部下の面倒など見れないとの愚痴のような言葉ばかり。その後、私からは2つだけ指示をしました。その地域と顧客を効率的に改善出来るか?と、取った資格を使って営業をする見本を見せられるか?。

結論は無理だったのでした。多少の改善でも出来れば御の字という感じで期待していたのですが、前の店の成績は単にラッキーだったのでしょうか?。とてもそんな実力があるとは思えない活動でした。私は半年後、もう一度チャンスを与えました。顧客の軒数を少なくして、部下の面倒と、新たに新規顧客の開拓を指示したのです。顧客軒数が減ったのだから、これなら大丈夫だろうと思いましたが、これも結局無理でした。

何でこんな社員が高評価を貰えたのか、その後もとても優秀な営業とは思えない事を度々やっていました。ある日、店長を含めた全員でのビデオ研修があり、夕方の4時半という時間厳守で始めると言う日に、何故か顧客とのアポイントを入れていたのです。それも先方の会社ででは無く、店の応接室でです。仕方無く全員がその顧客が帰るまで待つ事になりました。しかし一向に終わる気配は無く、終わったのは5時。これには私が、皆の時間を何だと思っているのか、と怒鳴りました。その時は平謝りでしたが、どうしてこんな事になるのかが私には見当が付きませんでした。

またこの頃はさらに帰る時間を早くするような運動を全店で行っていました。この頃は既に十分早い帰り時間となっており、これ以上早くなると、営業や事務としては日々の仕事に支障が出てくるような感じでした。しかし本部の指示なので、ある程度は従う必要があります。店としては早帰りを徹底させる為に、店長を始めリーダーや上司が先に帰り、見本を見せようという事を始めたのです。確かに部下の間には、上司が残っていると帰りずらいという意見もありました。営業部も店長の指示で私が率先して早く帰るようにしたのです。その時、私はこの社員に、私が帰った後は君が主体となって後輩連中を早く帰らせてくれと、指示しました。そして1ヶ月が過ぎました。

すると月が明けて店長が血相を変えて私の所に飛んで来ました。何と店の帰りの施錠の平均時間が先月より遅くなっていると言うのです。これは全店でこの店だけでした。私はそれが信じられず、最後の施錠した人間は誰なのか調べました。すると殆どがこの社員だったのです。それもその施錠時間は、先月より早くなっている日は1日も無かったのです。私はこれには唖然として、その社員を呼び出しました。早く帰る事を指示したのにこのザマは何か聞きました。すると、他の係の人達が次々と帰り、その度に店を施錠して帰ってとお願いされたとの事。もう一つは営業の後輩達が仕事が終わらなかったから終わるまで待ってあげた、と言いました。

これには私は呆れました。そしてこの時、この社員は、コントロールする能力が無い事を理解しました。すると今までの全ての謎が解けたのです。顧客から依頼、上司からの指示、仕事の環境まで、全てがされるがまま。事務的な指示や顧客の依頼を処理する能力は高いのですが、それを工夫する、改良する、効率化する、アップデートする、ダメなら交渉する、という能力は無かったのです。

今の日本の専門家が多分こんな感じなのでは無いかと思います。最近は特に専門家とは言えないような人が多いので、その度にこの担当者を思い出してしまいます。上からの指示通りやって来て出世して、気がつくと指示を出してくれる人が居なくなり、どうしていいか分からなくなる。やるにしても責任を取れる気概も無い、今の日本はこんな感じの人間が多いのだろうと思うと、今さらながら、やってらんね〜と思うのです。

色々な登龍門を経験しないといい営業マンやいい上司にはなれないものですf:id:x-japanese:20220811091244j:image