前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

29.骨シンチ検査

色々な検査の予定を組まれ、仕方無しに受ける事にしたのですが、骨シンチ検査はこの病院では出来ないとの事で、関連の病院に改めて予約を取り受ける事になりました。このため、平日に休みを取ることになりました。「この前2日取ったばかりで、またかよ」と、少しうんざりしました。病院はこの休暇についてどう思っているんだろうと良く思う事があります。病気なんだからそれどころじゃないだろう、という感じなのでしょうが、これは本当にストレスを感じます。また、会社に休暇申請を出し、特に何も言われませんが、とても恐縮する感じが本当に嫌でした。何か疑われているような、そんな大袈裟な、みたいに皆が見てるのではないか、なんて思ってしまう事もあり、この頃は休暇について精神的にプレッシャーを感じる事が多々ありました。骨シンチ検査は最初は聞き慣れない言葉だったので、針生検のような検査を思い浮かべましたが、単に薬剤を注射して癌細胞が骨に転移していないかをCTで調べる検査です。やる事は大した事では無いのですが、丸一日時間がかかりました。検査当日、朝9時頃受付をし、10時位に検査室に呼ばれました。そこで特殊な薬剤を打ちます。その時色々体調の事を聞かれました。気分が悪くなる人もいるようです。そしてこの注射した薬剤が体内に行き渡るまで3〜4時間位時間を置き、その後CTで撮影して状況を確認します。癌が骨に転移していると特殊な陰が写るそうです。注射を終え、私は特に行動制限も無いのでただボーってしていました。喫茶店に行ったり本屋に行ったりと、何か時間が勿体ないな、と思っていました。そしてその時には、この病院では何かというと検査をしたがり、レントゲンやらCTやら今回の骨シンチやら、これから重粒子という放射線治療を行うと言っているのに、被曝の数値等は大丈夫なのかひたすら心配になりました。因みに日本人の年間自然被爆量の平均は2.1ミリシーベルトだそうです。レントゲンはそれほどでもないのですが、CTは一回で約6〜7ミリシーベルトだそうで、CT一回で3年分の放射線を浴びる計算になります。放射線被爆量については最後まで説明はありませんでした。この位では心配無いのでしょうが、専門家はこの辺り素人に寄り添う説明がもっと必要だと思いました。特に原発事故の傷跡がまだ残る今、放射線量という言葉にはまだまだ神経質になってしまうと思います。そうこうしているうちに、指示された時間が来てCTの撮影が終わると体調も特に心配無いとの事で、そのまま帰っていいとの指示が出ました。まだ夕方の4時前、外は明るく街は人がたくさんいました。スーツ姿の人もたくさん行き交っていました。そんな中に一人で歩いている自分は、どんどん社会から置いていかれるような感覚に陥りました。とても疎外感に押しつぶされそうになったのを覚えています。そんな時に必要な心のケアが無い所も、癌の治療がキツい原因なんだろうって思いました。

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