鉄チャン旅行では、このようにさまざまな勿体無い事をして来ましたが、その他にも色々な事があり、さまざまな事を体験出来た事により、自分の人生を豊かにしてくれたと思っています。そんなエピソードを懐かしい思い出シリーズと題して、続けて綴って行こうと思います。
まずは感動編です。これは北海道のSL撮影旅行の時の話です。最終日に追分機関区に寄ってSLを撮影した後、中途半端に帰りの列車まで時間が余り、そのままそこで撮影する手もあったのですが、予定では幌内線の三笠という所に行く事にしていました。しかしこの路線も超ローカル線です。ちょうどいい列車が無く、何で調べたのか記憶が曖昧ですがバスで行く事になっていて、岩見沢駅まで向かいました。そして駅で確認するとちょうど三笠駅に向かうバスがあり、それに乗って向かう事が出来ました。
この日はいい天気でバスの中はほんわか暖かく、我々は連日の旅の疲れからいい感じで寝てしまいました。するとバスの車内放送が流れているのに気がつきました。「次は三笠入口です。お降りの方はブザーでお知らせ下さい」。私はびっくりして飛び起き、すぐにブザーを押しました。寝ていた友人を起こし、降りる準備を始めました。そしてバスはバス停に到着。3人はそこで下車しました。
降り立ったその辺りは車通りは少ないものの、雪解けの道でぬかるみがあったり土埃が立っていたりと、特にバスが走り去った後は凄く埃っぽく感じました。周りを見渡すと暖かいとはいえまだまだ雪が残っていました。しかも町並みは無く、駅らしい物はありません。ここは何処なんだ?と、暫くは呆然と立っていました。そして友人達と目を合わすと皆「これはまずい」と思っているようでした。我々は降りるバス停を間違えたのか?でも確かに三笠入口と言っていた。バスの運転手にも確認して降りたのは確実でした。しかし駅が無い、列車の気配も無い、人もいない。途方に暮れる一方、今日の夕方には札幌を発車する列車の指定券を持っていました。東京に帰れなくなるかも知れないと思うと、そこはまだ中学生。急に不安になりました。どうしようと思っているだけで、そこに立ちすくんでいました。
ふと道路を見ると、行ってしまったはずのバスが道路脇に止まっているように見えました。そして誰かがこちらに向かって小走りで走って来ます。それはバスの運転手の人でした。そして我々に向かって何か言いながら近づいて来ます。「君達、SLを撮りに三笠駅に行くんじゃないの?だとしたら三笠駅はまだ先だから、乗って乗って」と、手招きしています。我々は本当にびっくり。「そうです、三笠駅に行きたいんです」と答えると、運転手さんはさらに手招き。とにかく迷惑掛けてはいけない(もうすっかり掛けているのですが😅)と思い、我々は急いでバスへ走って行きました。
そしてバスへ戻り、運転手さんにお礼をした後、乗客の皆さんにも挨拶をしたとたん、こんな事があるのかと本当に信じられない気持ちで一杯になり、ジーンと来てしまいました。そしてそれから結構な距離をバスは走り、無事三笠駅に着く事が出来たのでした。運転手さんには改めてお礼を言いました。その時、見慣れない大荷物の青年3人組と言えばSLファンだろうと思ったとの事でした。そして最後に気をつけてと言ってくれました。
私は当時は東京育ち、電車と言えば山手線や地下鉄線。バスも頻繁に走ってる地域に住んでいました。また駅間やバス停間も短かく、例え降りる所を間違えても簡単に何とかなるし、また運転する方もそんな事は当たり前で、待ってくれる事やそれこそ間違えた事に気付いて戻って来てくれるなんて想像も出来なかったのです。
特にこの時は昨年の会津でのYHの一件があり、大人に対し人間不信を感じていた時期でもあったので、この出来事があって、「人間って本当は優しいんだ、暖かいんだ」と思った事を覚えています。そう言えば昨日の追分駅でも、出発時間になっているのに1人の老女が駅の改札を通った為、出発を待っていた列車がありました。我々は当然、「これは間に合わないや」と思っていたのですが、その老女はその後跨線橋を渡り一生懸命小走りで列車に向かって行きました。無事乗る事が出来、駅員が出発の合図、その後ディーゼル機関車の汽笛。我々は信じられない思いでこの光景を見ていました。地方では当たり前なのでしょうが、これが何ともいい光景だったのです。
よく古き良き時代と言いますが、まさにこの頃の北海道はそういった時代がそのまま残っていた感じでした。この北海道旅行では、勿体無い記憶3にも書きましたが深川駅での駅員さんも、遠くで見ていた我々の所までわざわざやって来て、近くでSLを撮影していいと許可をくれました。またその他でも、どこの駅かは忘れてしまいましたが友人がトイレに行っていている間に列車が来てしまい、出発を待って貰った事もありました。その時は戻ってきた友人に乗客達が「良かったね〜」と声を掛けてくれた事もありました。
このバスの一件は旅行の最終日に起こった訳ですが、これが私が人間というものを性善説で見るように改まったキッカケでした。これが無かったら、私は相変わらず大人に対して反抗的な態度を取り続けて、それこそグレていたかもしれません。当時は中学校は結構荒れていて、不良と言われていた友人もたくさんいました。そんな学生を抑える為に先生も強行な指導をする必要があったのでしょう。
今はこんな時代では無いかもしれませんが、「可愛い子には旅をさせろ」と昔からの諺があります。今は今で、やはり旅はいい経験をする事が出来ると思います。気兼ねなく旅行が出来るには、まずはコロナの終息。そして最近世界が物騒ですが、平和が絶対に必要です。そんな世界になるように毎日願うばかりです。
北海道のSL撮影旅行は本当に感動がいっぱいの旅行でした。
先日立ち寄った、思い出の深川駅です。昔の駅舎がそのままで、懐かしかったです😊