次は営業活動をしていた時の話で、もう時効だと思うので書こうと思います。これは営業の中堅位の時の話です。この頃は割合と都心の店にいたものですから、バイクで色々な顧客に訪問していました。
ある日、他の営業担当が病気で休みとなり、私が代わりに訪問する事になった顧客がいたのです。以前の店と違い、この辺の地理はあまり知らなかったので、地図を片手にバイクでノロノロ走って、顧客の店を探していたのでした。その道路は割と広く交通量は少なかったので、路肩辺りを走っていると、前方の反対車線にその顧客の店がありました。私はUターンする為に少し走ってバイクを停車させ、車が途切れるのを待ちました。そして車が途切れた時に、バイクのアクセルをふかし思いっきりUターンをしたのでした。そして顧客の店の前にバイクを置いて、訪問しようとしたその時です。
さっき止まっていた逆車線から、猛烈な勢いで警備員のような人が、こちらに走って来ました。そして私に向かって「ここはUターン禁止だぞ」と言って来るのです。私は「何だこいつ」という感じで、無視しました。するとさらに凄い剣幕で私に注意をして来ます。私はその時、この人は近くの工事の警備員か何かだと思ったのです。確かに、私がUターンした先の方でビルの工事をしていたのです。私は「警備員がうるさいんだよ」という態度で、「何ですか?」と、聞き直しました。
その人は繰り返し「Uターン禁止の場所なのに、なぜ行ったのか?」とひつこく聞いて来ます。私は「別に」と言った態度で、その人を睨みつけるような態度を取ったのです。何でこんな警備員に怒られなきゃいけないんだ、と少しイライラしたのです。そして、「何でいちいちそんな事で注意をするんだよ?」そして、「こっちは急いでいるんだ」「分かったよ、もうしないよ!」と言ったのです。するとその人は半ば呆れて、道路の向こう側に戻って行ったのです。私は「何だ、あいつ」と思ってそれを見てました。
するとその人は、道路の向こう側の小さい椅子に腰掛け、何か小さい三脚についたカメラを覗いています。私はまさかと思い、その先の方に目を向けたました。するとその先には、「止まれ」の旗を持った警察官が立っていました。そうです、この警備員だと思った人は警察官だったのです。その人はカメラを覗いている傍ら、私の方を見ていました。私はヤバいと思い、急いでバイクを走らせました。そしてバイクを少し離れた所に置き、歩いて会社に向かったのでした。
その人は速度取り締まりをやっていたのです。その目の前でUターンの違反をされた物ですから、凄い剣幕で走って来たのでしょう。しかし、持ち場を離れる訳にも行かず、渋々戻ったのだと思いました。あれが2人いたら間違いなく違反として切符を切られていたのでしょう。しかし、それにしても、気が付かなかったとは言え、警官に向かい「ふざけんな」「うるせえな」みたいな態度を取った事に、一歩間違えたら大変な事になったと思ったのでした。またその警察官からしたら、自分の目の前で公然と違反をされるなんて、思っても見なかったのでしょう。そして、その後もそんな態度を取る若者に、さぞビックリしたと思います。その後も、小さい椅子に座って取り締まりのカメラを操作しながら、こちらの方を睨んでいる姿には、今思い出しても、マンガかよと思うシチュエーションでした。
しかし、こう言った事は我々の営業ではよくあったのです。これは私が新人の時のある先輩の話です。当時、店の近くの道路に、何でこんな場所に右折禁止の交通標識があるのかと思っていた場所があったのです。そこには普通は通り過ぎるような小道があったのです。こんな道に誰が右折して入って行くのか、というような小道です。そしてその直ぐ前には交差点があり、そこにも右折禁止の標識が出ているのです。これには以下のような理由があったのでした。
この小道をある日、先輩がバイクで右折して入って行ったそうなのです。そこを通り掛かった警察官が、すかさず先輩のバイクを止めたのです。そこで先輩は右折禁止の切符を切られます。そこで先輩は大爆発。この場所は右折禁止では無いと頑なに反論します。しかし警察官は、この小道も前の交差点と同様であるという見解です。これは当時結構な騒ぎに発展したそうです。裁判までは無かったそうですが、結果は先輩に軍配が上がったそうです。そしてその直ぐ後に、その小道の場所には、しっかりと右折禁止の標識が付けられたとの事だったそうです。続けて並ぶ右折禁止の看板は、付ける位置を間違えたのでは無いかと、思わずマンガかよ!と見てしまうような物でした。我々はその標識を先輩の名前を冠に付けて「○○看板」と呼んでいました。世の中には、何でこんな所に看板が、と思うような標識がたくさんあるのは、こんな事の積み重ねなのかもしれませんね😅。
こんなマンガみたいな事、今はもう無いのでしょう。それだけ決まりが詳細に決められ、あらゆる場面を想定したような問答集もある位な世の中です。車にもドラレコは当たり前、街中にもビデオがあちこちにあり、ああだこうだという言い合いも出来ない位に記録される世の中になって来ています。昨年行われた、サッカーのワールドカップでも、VARの1㎜の世界の判定にはビックリしたものでした。全て正確になるのはとてもいい事なのでしょうが、アナログの世界もマンガみたいで、それなりに面白かったと思うのは私だけでしょうか。
これもマンガみたいですよね😳。美術館なのか宇和島駅なのか、東京なのか愛媛なのか、一体どっちなのでしょう?