前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

150.私の夫婦でゴルフ体験記15

今回の晴山ゴルフ場も、妻が予約等してくれました。泊まる所も考えてくれて、あまり人と接する事も無くワサワサしていない、こじんまりしたデザインホテルなるものを予約してくれました。とにかく私が少しでも元気になってくれるようにと、忙しい中いろいろと考えて動いてくれていて、それには本当に頭が下がる思いでした。この日は6月の初旬というのに快晴で初夏のような気候。高原なのに気温も寒く無く、湿気も無くとても爽やかな天気でした。そしてここは手引きカートで朝霞パブリックを思い出すようなゴルフ場でした。気取った感じも無く、コースも平坦でとてもプレーし易いゴルフ場でした。この日はさほど混んでもおらず妻は気分も上々、それにつられて自分も気分が上がりました。爽やかな気候、眩しい位の新緑の中、ゴルフをやるのは本当に気持ちがいいものです。あっという間に前半が終わり、2人ともスコアはそれ程でも無かったのですが、とても気分良く回れお昼になりました。

ここの昼食は数軒のお店から選ぶシステムで、我々はピザ屋に行く事にしました。そこは道路沿いにテラスがあり、そこに席を取りオーダーを取りました。そしてそこで飲んだビールがとても美味しかった。ピザを食べながら、新緑で美しい爽やかな気持ちのいいテラスで、行き交う車や歩道を歩く人を見ながら飲むビールは本当に美味しく、ここは日本でないような錯覚に陥りました。この感覚、まるで昔行ったハワイのようだな〜、なんて思いながら新緑に包まれまた景色を眺めているのは最高な気分でした。

そして翌日、この日はマラニックです。この日もいい天気、新緑の道をゴルフ場の横の道を抜け、国道18号に出て塩沢湖畔までの往復約10㎞、朝の爽やかな風を受けてのマラニックは最高の気分。そして今日も新緑が生きるパワーをくれているようでした。この両日で味わった感覚は私に本当に生きる希望というか活力を与えてくれました。またこの新緑を味わいたい、この爽やかな気候の中でスポーツをしたい、その他にも色んな事を思い出させてくれ、またこんな旅行がしたいという希望を持たせてくれた旅行になりました。

しかし、湧いてくる希望があると思えば、反対に無くなる希望もありました。あれ程妻が願っていた父とのゴルフが叶わなくなったのです。父は私が癌治療に入る前に、逝ってしまったのです。闘病が長かった事もあり、ある程度心の準備は出来ていたのですが、やはり希望が無くなるというのはとても辛い物があります。妻は本当に悲しそうでした。私もこんな病気に苛まれ、もしかしたら続けて夫も失うかもという妻の焦燥感も相当なストレスだったと思います。私は妻の為にも、何としても治療を頑張って絶対に病気に負けないと心に誓ったのでした。

そして、QST病院での治療が始まりました。治療は順調に進み、無事に退院する事が出来ました。その詳細はこのブログを見て頂くと分かるのでぜひご覧下さい。退院の時には、色々と医師に今後の生活の確認をしますが特に注意する事は無く、スポーツもゴルフはもちろんマラソンもOKとの太鼓判を押してくれました。それもあってこの治療法を選んだのですが、それでも医師からのこの太鼓判は、本当に嬉しい思いで一杯でした。横で聞いていた妻も、本当に嬉しそうでした。

退院の時は梅雨明けの夏真っ盛り。早速、久しぶりにゆっくり旅行でもしようと計画を立てたのですが、既に入院治療で有給を多く使ってしまったので、8月のお盆休み明けに1日だけ月曜休みをもらい、ゴルフ旅行をする事にしました。軽井沢のような高原で暑く無くてゴルフ場があって、出来れば温泉もあるホテルをと探していたら、水上高原ホテル200を見つけました。この時、何か見た事あるような場所だなと思いながらも特に調べる事もせず当日を迎え、まだまだ夏の真っ盛りの中、朝早く起きてゴルフ場へ向かいました。関越高速をひた走り水上ICを出ると、ゴルフ場へ行く道すがら、何となく来た事がある感じだなあと思いながら車を走らせました。そしてホテルに着くと、一瞬目を疑う光景に出くわしたのです。そこには我々家族が冬によくスキーに来ていた、水上プリンスホテルが現れたのです。気がつかなかったのも無理はありません。冬は辺りは一面の銀世界です。今は夏真っ盛り。景色は全く違います。しかしホテルの姿はあの時のまま。そして中に入るとそこにも本当に懐かしい景色が広がっていました。

今はプリンスホテルから経営が移り、このホテルに代わっていたのですが建物はそのまま。あの頃の子供が小さかった時によくスキーに来ていた頃が、鮮明に思い出されました。そしてそこには家族連れが一杯。それを見て益々当時の事が思い出され、何か因縁めいた物を感じ、私は強烈にあの頃の健康な自分に戻りたいと思ったのでした。さらにお孫ちゃん位の子供もたくさんおり、いつか孫を連れて皆んなでまたここに来たいと思ったのでした。この水上の旅行はこのように、またあの頃の元気な自分に戻りたい、これからも孫を連れてここに来てみたい、いつか家族で今度はゴルフをやってみたいという、大きな目標を与えてくれました。ゴルフは久しぶりでスコアはイマイチでしたが、今回の目的はゆっくりしに来た事だし、気にしない事にしました。しかし、今回感じた大きな目標を叶えるべく、あらゆる場面でも恥ずかしくない満足した球が打てるように、練習を頑張ろうと思ったのでした。

その晩は妻と2人で、この日のゴルフの他にもあの頃のスキーの思い出話にも花が咲き、久しぶりに飲み過ぎてしまいました。その為翌日はゆっくり目に起き、朝風呂に入りながらのんびりしていました。今日もいい天気そうだし、帰りはダムでも見てゆっくり帰るかと思っていると、急にここは水上だという事を思い出しました。鉄チャンのムシが動き出し、もしかしたらSLが走っているかもと思い、大急ぎで風呂から出てネットを調べると、ちょうど私の大好きな形式のSLが走っているのが分かりました。帰りに水上駅でそれを見て帰る事にしました(撮り鉄はしませんでした、笑)。このSLは本来JRが違う形式のものを復活させる予定だったのが上手く行かず、急遽矛先が向けられ復活したSLなのです。今まで随分と撮影はして来ましたが、こうやってじっくりと見るのは初めてでした。すると自分に不思議な感覚が湧き上がって来ました。「このSLも復活してこうやって元気で走っている。自分も同じように復活して絶対に元気になってみせる」。どうせ癌になって、昔なら死んでいたかもしれない自分。これからの人生は貰ったような物、これからはゴルフはもちろん、色んな事にも精一杯頑張ってみようと思ったのでした。

水上高原ゴルフコースにて。夏の高原ゴルフは爽やかで最高ですf:id:x-japanese:20211227113331j:image