前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

75.退院に向けて

病室へ戻ると、看護師さんから、このまま行けば最終照射後の退院は予定通りとの報告がありました。いよいよ終わりが見えて来ました。このベッドともあと2泊でお別れか、などと思いながら少しずつ退院の準備を始めて行きました。と言っても、最後の一時退院の時に結構持って帰ったので、あまり荷物はありませんでした。割とガランとしている身の周りを見ていると、本当にいよいよ退院なんだなと思いました。

最後の日は医師の診察があり、その後退院となるので、退院後の生活について聞きたい事を整理する事にしました。生活の制限については入院前に色々説明されてるので、 それ以外、例えばアルコールはどの程度いいのか、あとは今まで大変聞きづらくちゃんと聞いてない話なんかについてもこの際しっかり聞こうと思いました。さらにゴルフやマラソン等の激しい運動、そして再発した時はどうしたらいいのか等。先生の時間も限られているでしょうから、簡潔に聞きたい事をまとめておきました。

そして、11回目の照射が無事に終わり、いよいよあと一回の照射を残すのみ。その夜は感慨深い気分になり、病院中をフラフラしてました。人間ドッグから始まったこの約2年に渡る闘病も、明日で一旦区切りが付きます。自分達の納得した治療法を見つけ、ここまで妻と2人でよく頑張ってきたなと思うと、今までの事が一気に思い出されグッと来るものがありました。最初の頃は中々静止しての照射に慣れず大変でしたが、慣れてくればこんな楽な治療はない、重粒子という技術についても本当に感謝で頭が下がる思いでした。そして、この重粒子がしっかり癌細胞に照射され死滅しているよう、あとは後遺症が出ないよう、真に願いました。

こうやって病院から夜景を見ていると結構綺麗で、そんな事を考えながらいつまでも眺めていました。やはり治療には大きく5つ、家族の協力、情報収集、誠実な受診、希望や目標を持つ、そして少しの楽観的な心といったものが必要かな思いました。この全てに傍で寄り添っていてくれた妻に、本当に感謝をしました。

伊勢志摩、二見が浦の夫婦岩f:id:x-japanese:20210330154018j:image