前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

19.眠れない術後

病室に戻ると妻が待っていました。時間は思っていた程長くなかったみたいで、病室を出てから約1時間弱だったろうと思います。しかし、点滴や血圧計に繋がれ、他にも酸素マスクや尿道カテーテルを付けられた姿は少しショックだったようで、心配そうな顔で私を見ていました。自分はマスクが付いているのであまり喋る事が出来ず、それでも大丈夫と伝えました。その後、担当の先生が来て手術の成功といい生検が出来たとの報告に来てくれました。今晩は夕食は無し、異常が無ければ明日の朝からご飯、昼前には退院との事でした。後は結果を待つだけ。とりあえずホッとした気分でした。何ともない訳無いのですが何とも無いといいなと思いながらベッドに寝ていました。その後は会話もそれ程出来ず、容態も安定しているとの事でしたので妻も帰り、自分1人きりになりました。だんだんと窓の外が暮れていくのがわかり、急に心細さと空腹が襲って来ました。尿道カテーテルも何か変な感じで寝返りを打ちたくても初めは怖くて出来ない感じでした。眠るにも、空腹と手術後の興奮と機械に繋がれた状態で寝苦しいのとで、この晩は全く眠れず、検査自体よりこちらの方が苦しかったのを覚えています。眠れないとろくな事を考えないものです。どうしても悲観的になり、絶望的な将来を考えてしまいます。気分転換をしたくてもベッドから起き上がれない。今考えても、前立腺癌との戦いの中でこの晩が精神的に一番辛かったと思います。

ある日の家の近くの夕陽f:id:x-japanese:20200518120505j:image