前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

86.大腸検査結果と誕生日

病院に行くと、検査室へ案内されました。するとそこには病院で検査の準備をしている患者が結構いました。私が朝やっていた水を飲んでトイレに行って、という奴です。中には小柄なお年寄りの女性がいて、なかなか水を飲み切れずとても大変そうでした。その他にも苦労している人も多く、結構壮絶な現場でした。私は既にやってきており、事前の問診でも看護師さんのOKをもらい、検査を待つだけとなりました。

そしていよいよ検査開始。ちょっと恥ずかしい格好になりますが、そこは我慢。横になって先生を待ちます。すると先生がやって来て、始めます、の挨拶をされました。40代位の優しそうな先生でした。私はすかさず、1年前に前立腺癌で重粒子線治療をした旨を告げました。すると先生は、「ほほー、最近増えてるよね〜」と言って了解してくれました。私はホッとしてそれからは全て先生にお任せする感じで検査を受けました。

下腹部辺りが変な感じでしたが痛さとかは感じませんでした。結果は異常無し。とりあえず良かったと思っていると、先生は大腸カメラを抜く前に、「直腸の様子を見てみましょうか」と言いながらカメラを直腸の辺りで止めてくれました。

「この辺りですね、あー、いい感じで治療がされてますね」と、画像も見せてくれ、直腸の内壁が写されており数本の赤い線のような模様が見えました。それが重粒子線治療の照射の跡との事でした。最小限な跡のようで先生も太鼓判を押してくれました。これは嬉しかった。あの死ぬ思いで受けた治療を思い出し、超緊張の中頑張った結果がしっかり現れていると思うと、本当に真面目に頑張って良かったと思いました。しかし、その赤い所が、重粒子が当たり内壁にダメージがあり幅が薄くなっている場所で、そこが鬱血してくると便に血が混じるとの事。こういったビジュアルで見る事で下半身の圧迫や便秘や下痢がダメな理由が分かりました。

検査はこれで終了。最後に先生が、これからも便には多少血が混じる事があるので毎回ドッグには引っ掛かるとの事。そして同様なお知らせが来ると思うが、気にしないでいいとの事。しかし3年ごと位には大腸検査はした方がいいとの事、の説明をされ終了となりました。この検査は、神様から「照射の時、よく頑張って静止してたな、そのご褒美だよ」って言われたような気がして、私は特に信仰とか無いのですが、とても清々しい気持ちになりました。

検査結果はすぐにメールで妻に送りました。妻もこれには本当にホッとした様子でとても喜んでくれました。その後、妻と次女で、私の近づく退職のお祝いと誕生日会を一緒に企画してくれました。何より私の症状が病気では無かった事の感謝と、これ以上親族に嫌な事が続かないようにという事を願いつつ、色んな思いが詰まった誕生会にしてくれました。この歳でホールケーキを買って祝って貰うのは少し恥ずかしかったですが、還暦を迎え職場も退職、文字通りまた一から頑張って、負のスパイラルを自分の力で断ち切って家族を守って行かないとと真剣に思ったものでした。

誕生日と退職のお祝いのホールケーキf:id:x-japanese:20210726084400j:image