前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

297.私の会社員時代、やってらんない記憶.42

ブログの内容が色々と転々としていますが、またこのシリーズに戻ります。イカした連中のと言うよりも、本当に凄い連中もいました。凄いを通り越して、もはや呆れる位の仕事をする奴らもいました。それは、この項目だけは突出して凄いという連中です。他はパッとしないのですが、とにかくこの項目だけは誰も敵わないという奴らが確かにいたのです。

まずは新規開拓です。これは全社的に有名な奴が1人居たのです。新規開拓というのは、大体の営業が嫌いだったり苦手だったりする分野です。大体、新規の顧客に訪問して、ウェルカムな扱いを受ける訳が無いのです。自分だって休日に自宅にいて、ピンポーンと飛び込み営業がやって来たりしたら、普通は断ります。皆さんもそうですよね。せいぜいパンフレットを貰っておしまい、といった感じだと思います。友好的な扱いをされたとすれば、それは逆に何か罠があると思った方がいいのです。そして、大体断られる事ばかりですから段々と気が滅入って来て、そんな活動はやらなくなり、新規開拓の業績は大体が皆どんぐりの背比べ状態で、殆どが店長やリーダーが取ってくる紹介を元に行っているのが現実でした。だから私が新人営業の頃、ポンポンと新規顧客を取って来た時は本当に驚かれた物でした(247回目のブログをご覧下さい)。

新規開拓は今はどうやっているのでしょうか?。私が退職した時はコロナ禍が蔓延して来ており、既に飛び込みによる新規訪問は自粛となっていて、紹介のみの活動になっていました。あれから2年以上経っており、新規開拓の位置づけも変化したのでしょうか。企業の平均寿命は約30年と言われています。なので新しい顧客を絶えず探して行かないと、将来的には取引先が減少するのが目に見えているので、私は新規開拓は最重要と思っています。

そして、この社員は、それはそれは凄い数の新規顧客を取ってくるのです。それも大小お構いなく、様々な大きな会社やら個人事業先までをくまなく取ってくるのです。しかしその方法は特にノウハウは無く単純な物で、ひたすら訪問を繰り返す事だと言うのです。そして、伝説になっている事さえあるのです。取引先に、皆さんも知っているある有名企業があるのですが、そこはこの担当が取ったと言うのです。普通、有名企業なんて飛び込み営業で獲得できる訳が無いのです。しかしこの社員はひたすら通い続けたと言うのです。受付で断られる日々が続きます。しかし平然と訪問を繰り返すので、その会社でも話題になっていたそうです。そして、それに根負けした受付の人が、仕入部署の人に繋いでくれたのでした。もちろん会ってくれただけで、取引の話になんてなりません。しかし、この時は金融危機の時だったらしく、その後、この有名企業の取引先が倒産したようなのでした。そしてたまたま訪問していたこの社員に話が回って来たそうなのです。こんな事があるんだなあと本当に感心します。やはり継続とは力なりと言う事なのでしょうか。

このやり方で随分と新規顧客を獲得したそうです。他にもエピソードはたくさんあり、その中でも傑作なのは、あまりにもひつこく訪問した物ですから、顧客から「どうしたら来なくなるのか?」と言われ、「取引をしてくれたらもう来ません」と言ったそうです。すると社長は大笑いして、「それは逆に困るじゃないか」と言って取引をしてくれたという事もあったそうです。またこんな話もありました。何回行っても会ってくれない会社があり、その会社のビルの周りをウロウロしていたら、警官に職務質問されパトカーで連行され、店長が警察に身柄を引き取りに行った事もあったそうです。しかし、そんな新規開拓に一生懸命になり過ぎる為に、普段の仕事が疎かになり、逆にクレームは多かったそうです。よって、取引を解約されるケースも多く、結果、営業成績はいつも中間のような活動だったようでした。この社員、私も数度話した事がありますが、特に普通の男性でそんな根性がある感じは全くありませんでした。人は見かけによらぬものだと思ったものでした。

あとは新発売の商品が出ると、やたらと張り切る社員もいました。この人は少し躁鬱の気があったようで、普段は大人しい感じの人なのですが、一度やる気スイッチが入ると誰も止められないといった人だったのです。そのスイッチが入る時が新商品の発売の時だったのです。新商品のキャンペーンの時は、大体事前に社員が集まって説明会があるのですが、この社員はそんな会場に行くと目が爛々と輝き出し、スイッチが入ってしまうのです。そして販売が始まるとそれは物凄い勢いで獲得して来るのです。そんな活動が1ヶ月程度続きます。店の目標を1人で取ってくる位の数字を上げて、一通り自分の顧客にセールスが終了すると、またいつもの大人しい社員に戻っているのです。この社員はこんな感じでずっと営業にいましたが、その後、悲劇が襲います。

日本全体がデフレに苦しみ、失われた数十年となってくると、新商品が次々に発売される事などは無くなって来ます。するとこの社員は活躍する場所が無くなって来ます。この社員は段々と心を病んでしまい、結局、退職してしまったのでした。

その他にも、色々な社員がいました。女性なら任せてといった「マダムキラー」と言われた先輩。在庫管理は任せてと言った後輩。宴会ならお任せと言った「宴会取締役」を自称していた後輩(自分も結構そうでした😅)。お客様旅行となると人数を集めて来るイベント好きな先輩。皆、それぞれ個性があり、会社の中も活気がありました。今は、こんな突出した社員もよりも平均的な社員が受ける時代なのかも知れませんね。この人達を思い出すと、本当に人間らしい感じがするのは私だけでしょうか。

個性って大切です。あの頃が懐かしく感じるのは私が歳を取ったからなのでしょうか😅f:id:x-japanese:20221116101020j:image