前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

153.私の夫婦でゴルフ体験記18

この頃はこんな自分に妻も良くついて来てくれるなと思っていました。私も懲りずに良くゴルフに行っていたと思います。時は2020年4月。いよいよ退職まで半年を切りました。この頃になると会社で継続雇用をするか、それとも退職するかの面談があります。私はそちらも方の悩みもありました。会社としては今いる部署に残って後輩の指導をお願いしたいとの事でしたが、このところのこの部署は昔と違ってきて、方向性が自分と合わなくてなっている事を感じていました。もちろんお金の問題もありました。給与はおそらく半分以下になる噂もあります。また、世間はコロナ禍に巻き込まれ始めていて、仕事もコロナ対応を考えるというような、本来の仕事から脱線するような動きになっていました。その他にも会社の運営にも色々違和感を感じるようになっていました。とは言え、こんな自分では他で第二の就職なんて無理だろうし、このまま退職したら年金生活となり、ゴルフも旅行もそんなに行けなくなる。まさか妻をこのまま働かせて、妻の扶養家族になる訳にもいかないし、まさに四面楚歌の状態でした。

そんなある日、会社のエレベーターに乗っていると、昔、ゴルフの会でお世話になっていたお客さんの奥さんが乗って来ました。まだゴルフの会をやってくれており、会の用事でここまで来たとの事でした。あまりにも偶然で私は驚きながらも、お久しぶりですと声を掛けると、いきなり手を掴まれエレベーターを下ろされました。何事かと思うと、「あなた、もう退職でしょう?。うちに来る気は無い?」とのお誘いでした。確かに以前、退職したらうちへ来いと言われた事はありました。しかしそんな昔の話、本気にする訳も無くすっかり忘れていました。奥さんは近々に電話しようと思っていたとの事でした。とにかく社長が話したいと言っていたから近々に来てちょうだいと言い、またエレベーターに乗って行ってしまいました。

何か夢のような話でした。こんな自分でも来て欲しいなんて言われると、やはり嬉しいものです。そのお客さんの仕事の内容はよく知っており、もちろん仕事は厳しいでしょう。でもやれない事は無いと思いました。その後、帰ってから妻と相談。新しい仕事に挑戦するのもいいのでは、という事で、翌日早速社長に連絡し、数日後に訪問しました。私が病気していた事も知っており、雇用条件もそれ程キツい感じではなく、給料もこの年では十分という位の数字を提示してくれました。私はその場で入社の回答をしました。その後、再度会社での面談があり、その時に継続雇用はお断りをしました。すると意外な依頼があり、絶対に残って欲しいとの事でした。自分にそれ程の自信が無い方だったので、退職の意思は簡単に受け入れられると思っていたので、これにもビックリしました。

これらの事は私に自信を与えてくれました。今までこの会社で思ったより出世出来ずに、自分なんて価値なんか無いのだと思っていました。そして信じられない事に、その後も2社から退職後のオファーがあったのです。これには今までやって来た事を、会社の外の人達が見ていてくれたんだと本当に嬉しかったのです。そしてこれを契機に自分に自信のような物が湧いてきて、ゴルフによって迷い込んでしまった自分探しの旅にも、少しずつ明かりが差し込んでくるような感じがしました。

こんな事があった4月、この月も懲りずにキングダムゴルフクラブへ行きました。この時はコロナ騒ぎの緊急事態宣言が発令され他県に行く事が出来なかった為、県内である秩父のゴルフ場に行きました。秩父にはよくSLの撮影に来ますが妻とのゴルフは初めてでした。予約した時は、人があまりいない時間と思って、割と朝早めのスタートを取っていました。この日は日曜日だったので、もしかしたらSLの汽笛なんか聞けるかもなどと思いながら、スタートホールへ向かいました。この時は退職後の就職先が決まり、暫くはまたゴルフやランニングが続けられ、X-JAPANのライブだって行ける、SLの撮影旅行だって出来ると思うと、何だかとても楽しかったのを覚えています。そんな気分だったので、リラックスしてルーティーンをしっかりこなして第一打を打つ事が出来ました。そしてそれがまずまずの当たり。この後もしっかりルーティーンをして打つ事を心掛けた結果、5回目の百切りの98で上がる事が出来ました。お昼頃には遠くにSLの汽笛も聞けて気分は最高でした。

この時、自分の打つ時の心掛けが変わったようでした。と、言うか、この4月の退職絡みの一連の出来事が自分に自信をくれた事により、色々な事象に落ち着いて対応出来るようになったようでした。なんと言うか、どっしりと構えられようになったと言うか、皆な自分の事を認めてくれてると言うか、とにかくフラフラしない精神力のような物が、私に宿ったようなそんな感じがしたのです。本当にゴルフはメンタルが関係して来るスポーツだと改めて思いました。またこの辺りからやっとフォーム改造の効果が出始めてきた感じもしました。たとえチョロやダフりが出ても、次の一打は慌てずしっかりルーティーンをこなし素振りをし内から外へを心掛ける事によって、それが続く事はほぼ無くなってきました。この辺りも精神的に楽になりました。スクールに通って約2年、やっと私の悪い癖が取れ始め、退職絡みの一件から人間としての自信も付き、呪いのような緊張感や気負いが少しずつ無くなっていく実感が出てくるようになりました。

キングダムゴルフクラブで桜をバックにティーショットf:id:x-japanese:20211115114732j:image