駅伝レースの当日、現地集合なので初めて一人でレースに出掛けました。特に何も考えずどんな人が来るのかも知らず、女性も集まるというので既に終わった後の飲み会の方に関心がいってました。そして会場の集合地点に集まると主催した後輩がいて、その時初めて今日のメンバーを聞きました。会社以外の人もいて殆どが初めて話す人達でしたが、その中に一人凄い奴がいました。なんとフルマラソンを２時間台で走る奴です。もちろん会社の後輩です。噂には聞いていたのですが、今まで特に会う機会も無くレベルが違い過ぎたので敢えて話す事も無かったのですが、これには一気に緊張しました。考えてみるとランニングを始める前までは、フルマラソンを２時間程度で走ると言われても「ふ〜ん、そうなの？」程度だったのが、今はその凄さが分かりこの後輩についても一目置くようになっていました。既にウェアに着替えており、間近に見るとまるで箱根駅伝に出ているランナーという感じの完璧にシェイプアップされた身体です。これは凄いと圧倒されたのを覚えています。
私はその後直ぐに主催した後輩に「まさか、マジなレースじゃないよな」と確認しました。でもここまで来たらやるしかない。逆にいい機会だからこのアスリートの走りを見てみようと思いました。他の人は実力は不明、とにかく頑張って走ろうと心に決めました。そしてスタートです。もちろん第一走者はその凄い奴です。何とトップで我々の目の前を通過して行きました。皆その圧倒的な走りに驚き、今日これを見れただけでも価値があったと思いました。自分もこれを見てテンションが上がり、責任の６㎞を３０分かからずに走る事ができました。
結局凄いのはその後輩だけで結果もそれなりでレースは終わりました。でも凄い走りを見て自分は何故か感動し、皆も感じるものがあったのでしょう、その後の飲み会も多いに盛り上がりました。自分も改めてやっぱり走る事はいいなあと思うようになっていました。そしてこの時、初めてフルマラソンという物を意識するようになりました。前回のハーフマラソンでさえ最後まで走り切れずにいるのに、この後輩は自分のハーフと同じ位の時間でフルマラソンを走れるのかと思うと、凄い世界があるもんだと思い、マラソンの世界はまだまだ深い、このハーフマラソン辺りで分かったような気分になってはいけないと思うようになりました。
そして、これを期にまたランニングの練習をちゃんとするようになりました。ハーフでさえまともに走れないくせに、フルマラソンという未知の世界が見てみたくなったのです。とにかくまずはハーフマラソンを頑張ってみようと思いました。そして再度、谷川真理のハーフマラソンをターゲットにして頑張る事にしました。このお陰でこの年の秋も、勝沼ぶどうマラソンにも出る事が出来、またあの酒盛り状態を体験できました。
この頃、妻の友人から近所の町がやっているジムを教えてもらいました。前に少し通ったジムは会費が高く体験しか出来なかったのですが、ここは町営、とにかく入会金も無く、利用料金が大変安く設備もまずまず揃っていました。とくにランニングマシンが２０台程あり、雨の日の練習には打って付けでした。ハーフマラソンを克服するにはやはり練習です。今までは雨の日の対応をとても悩んでいましたが、これで悩む事なく計画的に練習を続ける事が出来るようになりました。
既にランニングを始めて２年が経過していました。この頃は私の体重は７２㎏位まで落ちていて、さらにズボンはブカブカ、会社ではこの痩せ具合が何か悪い病気になったのではないかと心配される程でした。しかし、人間の体重はピーク時から２割落ちると身体からアラームが出るそうで、そこからは中々落ちなくなると調べていたので、まさにその通りになりました。ここからは体重は減らず、いくらランニングを続けてもこれ以上減る事は殆どありませんでした。しかし１８㎏近く減った身体は信じられない程軽く感じ、日々の行動も、所謂腰が軽くなりスピード感が出てきました。家族からも一定の承認を得る事が出来ました。
そして年が明け、いよいよハーフのリベンジです。このハーフマラソンを克服しなければフルマラソンの道はないと思い、とにかく走り込んできました。そしてその結果は見事歩く事無く完走。前回よりもかなりいいタイムで走る事が出来ました。ようやく昨年の悪夢から解放された一瞬でした。でもこの後もハーフマラソンを克服すべく、その４か月後の春日部の大凧ハーフマラソンにエントリーしました。ひょんな事から出た駅伝レースが、また新たな挑戦を始めるキッカケをくれた事に感謝したのを覚えています。
