前立腺癌、重粒子治療体験記

前立腺癌と重粒子治療について、私の経験をお伝えして行きたいと思います。

63.照射前の葛藤

その後、先生の回診でも特に異常は無し。今日もまたひたすら呼ばれるのを待つ1日が始まります。今日は水曜日、先週の今頃は会社で最後の引き継ぎをしていたな〜などと思いながら、その時は気楽な入院生活を想像していたの思い出します。

ただ寝ているだけで癌治療ができる時代になったんだ、などと呑気に考えていました。確かに身体的にはそうなのですが、絶対静止という精神的なプレッシャーは本当に想像以上です。またうんざりしてきて、心は最悪。この治療、最後まで持つか本当に心配になってきました。

悪い事に痛いとか苦しいとかのような症状が無い分、考えるのは治療時の静止の事ばかり。頭の中はそれでいつも一杯のような状況でした。また遅いのか、それとも今日は早いのか、おちおち読書も出来ない状況になってきました。

そして食事の時間。しかし食欲は湧きません。食堂に行くと同室の方と一緒に食事ができたので、つい、照射の時のあの静止は精神的に参ってるとの話をしてしまいました。すると間髪入れず、あれは参るよね、との賛同をしてくれました。その方はやはり緊張で少し動いてしまったようです。その為、排泄の事をとても心配していると言っていました。

皆んなそれぞれ苦労しているんだ、自分だけでは無かったんだ、と思うと気分は少し楽になりました。やはり精神的に参っている時は、同じ境遇の人と語り合ったり、話を聞いてもらったりするのがいいようです。皆同じプレッシャーの中で頑張ってるんだ、自分だけじゃない、と少しだけ元気が湧いてきたのを覚えています。

伊豆スカイラインから見る駿河湾f:id:x-japanese:20210327144858j:image